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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月17日 No.3427 提言「Society 5.0の実現に向けた個人データ保護と活用のあり方」を公表 -国内制度の整備・充実とバランスのとれた国際制度の構築を求める

経団連(中西宏明会長)は10月15日、提言「Society 5.0の実現に向けた個人データ保護と活用のあり方」を公表した。Society 5.0の実現に向けて、個人データの活用は重要課題である一方で、プライバシー侵害やセキュリティをめぐる課題の顕在化など、多くの克服すべき課題がある。こうした状況を踏まえ、個人が納得・信頼できる個人データの保護・活用のあり方を提言した。

■ 個人データの保護・活用をめぐる状況

企業が個人データ活用の取り組みを進める一方で、個人データの活用に対する消費者の懸念が広がっている。国際的に、個人データを含めたデータへの規制を強化する動きがあり、わが国では、個人情報保護法の見直しや情報銀行(注1)を推進する動きが進んでいる。

わが国としては、国内的には「個人の納得・信頼のうえで個人データを活用できる環境の整備」、対外的には「越境データ流通の確保を前提とした調和のとれた国際制度の構築」に向けて政策を遂行することが重要になる。

■ データ流通・活用基盤の構築

データ活用の前提として、事業者が必要なデータを収集できる環境整備が不可欠であり、オープンデータ、データ連携基盤、情報銀行等の取り組みを官民一体で進める必要がある。とりわけ、情報銀行は、実効的な本人関与を高め、パーソナルデータの流通・活用を促進する取り組みであり、日本型のデータ流通・活用インフラとして普及が期待される。

■ 個人情報保護法制のあり方

個人情報保護法の見直しに関しては、「利用停止等」や「ペナルティの強化」「漏えい報告の義務づけ」などの議論が行われているが、個人データ活用の観点から、慎重な対応が求められる。

また、個人情報保護委員会が官民の個人情報保護法制全般を一元的に担うこととしたうえで、官民の個人情報についての取り扱いを統一すべきである。

■ デジタル・プラットフォーム事業者等に対する規律のあり方

デジタル・プラットフォーム事業者を念頭に置いた過度な規制強化は、イノベーションの停滞につながる。したがって、同種の事業を実施する国内外事業者に既存法令を厳密に適用・執行する一方で、新たな規制の検討にあたっては、プライバシー保護とイノベーション促進のバランスをとることが重要である。

■ バランスのとれた国際制度の構築

円滑な越境データ流通の確保に向け、データローカライゼーション規制(注2)の緩和・撤廃に向けた働きかけを強めるとともに、国際的な枠組みづくりを行うことが重要である。加えて、調和のとれた各国制度の構築に向けた働きかけを行うことが求められる。

個人データ適正利用経営宣言

■ 産業界の取り組み

政府に対して要望するとともに、企業が個人の納得・信頼のもとで個人データの活用に取り組む姿勢を示すため、「個人データ適正利用経営宣言」を策定した(図表参照)。

(注1) 情報銀行=個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、個人のデータを管理するとともに、個人の指示またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断のうえ、データを第三者に提供する事業

(注2) データローカライゼーション規制=ICTサービスの提供に用いられるサーバー設備の国内設置等を求める規制

【産業技術本部】

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