経団連(中西宏明会長)はデジタル化に伴う横断的な課題を議論することを目的としてデジタルトランスフォーメーション(DX)会議を新たに立ち上げ、11月6日、東京・大手町の経団連会館で初会合を開催した。
経団連は昨年11月に公表した提言「Society 5.0 ―ともに創造する未来―」(2018年11月15日号既報)において、新たな社会(Society 5.0)はデジタル革新と多様な創造力の融合によって創りあげていく社会と提唱。今後の日本において特に重要となるのが、産業の新陳代謝・構造変革の促進であると訴えた。DX会議は、そうした産業全体のDX推進にかかる横断的な課題について議論を行うとともに、具体的な実装を目指して設立したもの。
冒頭、議長を務める中西会長は、「DXはやるかやらないかにかかわらず、どんどんと先に進んでしまうもの。どうせ進むのなら推進する立場になる方がよい。経団連としてもこの変革を前向きにとらえてエネルギーに変え、横断的に議論を行っていく。利益代表が集まって相談するのではなく、より視点を高めて、いかに日本の競争力を強化し経済成長に結びつけるのかを議論していきたい。アウトプットとしては、単に規制緩和を要望するだけではなく、新たな産業構造をつくっていくことが目標」と述べた。
その後、藤井保文ビービット東アジア営業責任者と宮田裕章慶應義塾大学教授から講演を聞き、意見交換を行った。藤井氏からは、在住している中国の最新動向も踏まえながら、オンラインがオフラインを覆う「アフターデジタル」の社会について説明があり、日本は多様な生き方を実現するためのデジタルの使い方を模索すべきだという提案があった。宮田氏からは、ヘルスケア分野をはじめとする国内外の最新事例の紹介とともに、価値共創社会であるSociety 5.0に向けた展望について説明があった。
DX会議は、今後も横断的な議論を深め、提言と実装に結びつけることを目指して活動していく。
【産業技術本部】