1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2019年12月5日 No.3434
  5. ビジネスラウンドテーブルと「企業の目的に関する声明」について意見交換

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月5日 No.3434 ビジネスラウンドテーブルと「企業の目的に関する声明」について意見交換 -ワシントン・リポート<68>

経団連米国事務所は11月19日、米国の主要企業の経営者をメンバーとするビジネスラウンドテーブル(Business Roundtable、BRT)のマリア・ガザル上級副理事長とカーター・ウッド上級政策アドバイザーから、同団体が8月19日に公表した「Statement on the Purpose of a Corporation(企業の目的に関する声明)」(※)の概要や公表の背景について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 声明の概要

BRTは、主要企業の経営者により構成される組織であり、今回の声明も各経営者の参画のもとで作成、公表したものである。当初、BRTに所属する181名の経営者が署名を行った。

同声明ではまず、企業は自由市場経済のなかで社会に不可欠な商品やサービスの供給、雇用創出、イノベーション等に重要な役割を果たしていることを指摘したうえで、すべてのステークホルダーに対するコミットメントを行うことを明らかにしている。すなわち、企業は顧客への価値の提供、従業員の能力開発への取り組み、サプライヤーとの公平で倫理的な関係の構築、地域社会への貢献、そして最後に株主に対する長期的利益の提供を行うことを明示した。

もっとも、ここで挙げた各点については、すべての実現を強制するものではなく、各企業が自らの存在目的に沿って優先順位づけをしたうえで実行すべきものと位置づけている。

■ 公表の背景と今後の動き

BRTでは、1970年代からコーポレートガバナンスに関する声明を公表してきており、1997年以降は企業の目的を株主利益の実現ととらえていた。しかし、その後、米国の多くの経営者は地域への貢献や環境問題への対処など、広く社会課題の解決も企業の目的ととらえるようになってきており、今回の声明はそのような変化を反映させたものである。その意味で、近時経営者が考えていることを文章化したものであり、企業の目的に関する劇的な変化を企図したものではない。

今回の声明の公表は米国内外で大きな反響を呼び起こしたが、それらは概ね好意的なものである。現在は、今般の公表を踏まえて、次に何を行うかに大きな関心があると感じている。BRTとしては、イノベーションや人材育成、ヘルスケアといった分野にアジェンダを設定し、企業がどのようにして社会に貢献できるかの議論を深めていきたいと考えている。

【米国事務所】

「2019年12月5日 No.3434」一覧はこちら