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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月12日 No.3435 中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は12月9日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長はまず、COP25(国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議)が開催されているこの機をとらえ、温室効果ガス排出量を徹底して削減する活動「チャレンジ・ゼロ」(チャレンジ ネット・ゼロカーボン イノベーション)構想を同日公表したと説明。脱炭素社会の実現に向けて企業がチャレンジするイノベーションを国内外に力強くアピールしていく取り組みを開始すると述べ、昨今の異常気象の世界的な増加や気候変動に対する危機感が背景にあることに言及した。水素、再エネ、省エネなどあらゆる選択肢を対象に、技術開発のみならず、ビジネスベースでの先導的な実装の必要性やイノベーションを後押しする投融資の重要性を指摘。民間主導のイノベーションを、COP25で政府と軌を一にしてアピールしていくとの意向を示した。

来年の春季労使交渉については、社員のエンゲージメント向上のための働く環境整備と賃金引き上げのモメンタムの継続が焦点になると指摘。前者については、「働き方改革フェーズⅡ」として展開しており、日本型雇用の課題の見直しについても議論しているとしたうえで、日本型雇用が機能していないということではなく、さまざまな雇用形態の長所をうまく組み合わせ、社員がスキルを磨き、かつ安定的に仕事ができるように再設計していきたいとの考えを示した。後者に関しては、20年にわたる低成長のなか、賃金引き上げを控えてきたとの認識から、社員の働きに報いようとの思いは経営者に強く、これを選択肢の一つとして打ち出すのは当然との認識を示した。

日本経済の現状と見通しについては、今年7―9月期のGDP第2次速報値は大幅上方修正され、設備投資は堅調でデジタル投資も進んでおり、海外経済は不確定であるものの、安定的に推移するとの見通しを示した。また、消費税率引き上げの影響は軽微であるとしつつ、駆け込み需要の反動減がいつ回復するか予測は難しく、消費喚起のために産業界も政府もさらに知恵を絞る必要があると指摘。また、日本企業が個々の強みを踏まえ市場を絞り込み、多岐に展開することが主流となりつつあり、それが進めば日本経済は底堅さを一層増すだろうと述べた。

オープン・イノベーション税制に関しては、ベンチャー企業への投資は経営の基本方針に関わる事項であるとしたうえで、ベンチャー投資を促進するためのよいメッセージになるとの認識を示した。

内部留保の議論をめぐっては、内部留保は企業の過去の利益の積み重ねであり現預金とは全く異なるとしたうえで、客観的に見て現預金が増えているのは事実であり、経営者は新しい投資分野を積極的に開拓し、企業ひいては日本経済の成長につなげていく必要があると述べた。

【広報本部】

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