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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月19日 No.3436 オルバーン・ハンガリー首相との懇談会を開催 -日本企業の進出や事業拡大を期待

オルバーン首相(左から3人目)と中西会長(同2人目)、
越智副会長(同4人目)、佐藤委員長(同1人目)

経団連は12月6日、東京・大手町の経団連会館でハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相との懇談会を開催した。経団連からは越智仁副会長・ヨーロッパ地域委員長、佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長ら、ハンガリーからはオルバーン首相、シーヤールトー・ペーテル外務貿易大臣、ナジ・ヤーノシュ首相プログラム担当国務大臣、また、同国と戦略的パートナーシップを結んでいる日本企業が出席した。オルバーン首相の発言の概要は次のとおり。

◇◇◇

1990年にハンガリーの民主化後に初めて行われた選挙で国会議員に当選してから30年がたった。98年から2002年と、10年から現在まで合わせて14年間にわたり首相を務めている。

10年に首相に再就任したとき、世界経済危機を受けてヨーロッパの競争力が低下していた。ハンガリーの経済構造を強化するため、憲法、労働法、税制、教育法などを改革した。

改革の成果として、昨年のハンガリーの経済成長率は5%以上に達した。また、失業率は3.5%以下であり、完全雇用がほぼ達成された。西欧より成長率が高いのは、ハンガリーの社会は仕事を基盤にしているためである。政府は「Welfare」ではなく「Workfare Society」を掲げている。失業者に対して仕事を与え、働かないと失業手当などの支援が得られない。

好調な経済を背景に労働者の賃金は上昇しているが、税制改革等により海外投資を誘致している。法人税は9%と低く、所得税は一律15%である。企業の設備投資に対する税制優遇措置や補助金もある。雇用促進を求めているのではなく、技術立国がねらいである。新しい技術を導入した企業には、それが労働節約的な結果をもたらしても優遇措置が提供される。

ハンガリーには、海外の自動車産業が多く進出している。自動車産業はGDPの30%を占め、生産された自動車の91%が輸出される。ドイツの自動車産業が伸び悩むなか、ハンガリーに工場を移転する動きがあり、現在はBMWが自動車工場を建設している。

ハンガリーの最大の貿易相手国であるドイツは経済が停滞しているが、経済成長率が高いV4諸国(ヴィシェグラード4カ国=ハンガリー、ポーランド、チェコ、スロバキア)と連携すれば、経済の先行きを心配しなくてよいと思う。

日本との関係では、スズキ、デンソー、ブリヂストンなどと政府が戦略的パートナーシップを結び、個別に事業を支援している。日本企業には、税制優遇措置等を活用して、ハンガリーに進出して事業を拡大してほしい。日EU EPA(経済連携協定)により、両国間の経済関係を強化したい。

また、産業のデジタル化に対応するため、昨年4月にイノベーション・テクノロジー省を設立し、自動車産業出身の大臣が就任した。大学や研究機関などのイノベーションに関する知識を統合する組織であり、日本をはじめ海外の政府にとっても参考になると思う。

加えて、昨年、教育改革として、エンジニアや技術者を育成するため、企業と大学が連携して、学生が工場で働くシステムを整備した。企業に入ってから学生が即戦力になることを目指している。

【国際経済本部】

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