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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月19日 No.3436 IASBのロイド副議長らから国際会計基準をめぐる最新動向を聞く -金融・資本市場委員会企業会計部会

ロイド氏(左から2人目)、鈴木氏(同1人目)、
シャー氏(同4人目)

経団連は11月28日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会企業会計部会(野崎邦夫部会長)を開催し、IASB(国際会計基準審議会)のスー・ロイド副議長、鈴木理加理事、ニリ・シャー・エグゼクティブ・テクニカル・ディレクターから、国際会計基準をめぐる最新の動向を聞くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 国際会計基準をめぐる最新動向

2020年は、IASBが検討している「金利指標改革」「基本財務諸表プロジェクト」「のれん及び減損のプロジェクト」など、さまざまなテーマについて、関係者との協議を行う年である。ぜひ皆さまの意見を頂戴したい。

(1)金利指標改革

21年末に予定されるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の公表停止に伴い、IBOR(銀行間取引金利)に替え、リスクフリーの金利などに金利指標を変える必要がある。指標の変更から生じる不確実性に対応するための暫定的な救済措置を定め、修正基準を9月に公表した。

これに続きIASBでは、金利指標の実際の置き換え時に想定されるヘッジ会計などへの影響を精査しており、これを踏まえた公開草案を20年早々に公表する予定である。

(2)基本財務諸表プロジェクト

現行の基準では、損益計算書の段階利益の表示に関する要求事項が少なく、企業間の比較可能性が損なわれているとの指摘がある。そこで、損益計算書に、「事業」「投資」「財務」の3つの区分を設け、追加の小計を開示するよう、規律を強化する。

12月に公開草案を公表し、180日間の意見照会期間を設ける。段階利益の表示は、関係者にとって重要な見直しであることから、準備期間を十分にとって、意見提出に備えてもらう予定である。

(3)のれん及び減損のプロジェクト

減損と償却処理のどちらがのれんの会計処理として望ましいかという単純な議論ではなく、企業結合に関わるよりよい情報を合理的なコスト負担で開示できるかどうかという、より大きな問いかけから検討している。

来年2月に公表予定のディスカッションペーパーでは、「結合後の業績に関する開示の改善」「現行の会計処理を維持するか、償却処理を再導入するか」「減損テストの簡素化」の3つのポイントから提案を行う予定である。

<意見交換>

意見交換では、野崎部会長から、のれんの定期償却を通じた適切な期間配分により費用と収益を対応させる考え方は、わが国の監査人、アナリスト、学者の多くの賛同を得ており、金融庁も含めて、大勢がのれんの償却処理を再導入すべきと考えていることを紹介。

石原秀威部会長代行からは、のれんの償却処理の再導入はわが国の総意であることを重ねて強調するとともに、基本財務諸表プロジェクトに関して、比較可能性の観点からの見直しは有用であるものの、さまざまなビジネスモデル、業種、業態を、損益計算書において画一的に表示するには限界があることを指摘した。

【経済基盤本部】

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