経団連の中西宏明会長は12月23日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
中西会長は令和2年度予算案について、将来の成長に資する前向きな予算案としたうえで、本予算を税収で賄えるようになることを期待したいと述べた。財政運営については、エビデンスに基づいた検証を適切に行い、翌年度の政策立案に反映することも有効とした。
GPIFの貸株停止に関しては、貸株は一つのメカニズムとして機能しているものの、投機性を増す方向に働くケースも多いと指摘し、GPIFの判断は妥当だとした。
雇用をめぐっては、従来の日本型雇用システムでは、顧客と共に考え付加価値を提供する新しいビジネスモデルへの転換に対応できる人材は育ちにくいと指摘。雇用形態の変化と社員のエンゲージメントの向上が一体となって進んでいくことが望ましいとして、日本型雇用システムにジョブ型雇用などを組み合わせる必要性に言及した。企業は経済価値・環境価値・社会価値を重視しており、社員も自分の仕事が社会に貢献しているとの認識が充実感ややる気につながる傾向が強いとして、こうした変化を踏まえ、労使間でも議論を深めていく必要があるとの認識を示した。
日韓関係をめぐっては経団連が窓口となり対話を続け、できることを積み重ね、経済界同士の対話のチャネルを膨らませていくと述べた。
イランとの経済関係については、米国の制裁等による制約も多く大きな進展は考えにくく、日本独自の外交を打ち出すのも難しいと指摘したうえで、イランは長い歴史を有し、教育レベルも高く、日本との関係も良好として、対話を継続し、国際情勢に留意しつつ協力関係を探っていくことになるとの見通しを示した。
2019年の世相を表す漢字一文字については「あらためて未来を考えるという意味で『未』としたい。気候変動問題一つとっても、将来をどのように考えるかで行動も変わってくる」と答えた。
【広報本部】