Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月9日 No.3438  経済3団体が新年祝賀パーティーを開催 -安倍首相があいさつ「日本が世界の真ん中で輝ける年に」

経団連(中西宏明会長)、日本・東京商工会議所(三村明夫会頭)、経済同友会(櫻田謙悟代表幹事)の経済3団体は1月7日、都内のホテルで「2020年新年祝賀パーティー」を開催した。会員代表者や安倍晋三総理大臣はじめ政界の要人、大使館関係者ら約1800名が出席し、賀詞を交換した。

あいさつする安倍首相

来賓としてあいさつした安倍首相は、「今年の内閣の最大のチャレンジである全世代型社会保障改革を成し遂げて、少子高齢化に立ち向かっていきたい」「世界情勢が緊迫の度を強めるなか、日本独自の粘り強い外交を展開していきたい」との意向を示したうえで、「今私たちに求められているのは、決してあきらめないガッツとチャレンジ精神と、環境変化に対応していく力強さである」と指摘。「皆で力をあわせて乗り越えながら、オリンピック・パラリンピックを歴史に残る大会にし、そして日本が世界の真ん中で輝ける年にしていきたい」と抱負を語った。

中西会長がパーティー後に共同会見

共同会見で発言する中西会長(左)

パーティー後、中西会長は共同会見に臨み、経済動向や働き方改革、国際情勢などについて所見を述べた。

■ 日本経済

リーマンショック以降、日本経済はしっかりとした足どりで成長を続けており、景気が大きく揺れ動くという感覚はないものの、超低金利のなかでこれまでと少し違った動きになっていると指摘。今後も着実な経済成長を持続するうえで、デジタルエコノミーへの対処を課題に挙げた。

東京オリンピック・パラリンピック後の景気後退を憂える声があることについては、根本的な問題は経済構造の変化にスピード感をもって対応できるかどうかだと応えた。

■ 景気対策

単年度予算では長期的なスパンが求められる政策にコミットメントしにくいとしたうえで、複数年度でSociety 5.0の社会実装に取り組む視点が今年度補正予算に反映されている点は従来にない工夫であり、その実効性を見届けたいとした。

■ 財政健全化

財政健全化は官民ともにしっかりと視野に入っているとして、経済界は現実的な解として社会保障関連を中心に施策を提案、政府が検討の俎上に載せていることを説明した。また、緊急に対応すべき案件については、機動性をもって財政出動をする必要もあると指摘。来年度予算や経済対策の規模については予想以上に大きいとの印象も受けるが、いかにワイズスペンディングし、どのようにPDCAをまわして、財政健全化につなげていくのかが問われているとの認識を示した。

■ 春季労使交渉

これまで賃金引き上げにばかり注目が集まっていたが、春季労使交渉の意味合いは大きく変わりつつあるとの認識を示し、今や高度経済成長期に機能した、効率重視で大量生産を支える雇用のあり方がうまく機能しなくなってきていることがあると説明。エンゲージメント向上に対応し、ジョブ型雇用をしっかりと組み込んだ働き方へと、コンセプトやルールを変えていかなければならないと強調した。それは個々の企業の業績向上にとどまらず、日本の国際競争力の強化、日本経済の発展につながっている。特に多様な人材が働きやすい職場環境の整備など、総合的な対策が重要となる。経営側と働き手で共に新しい方向性を考えていきたい。

■ 国際情勢

米国・イラン関係をはじめ、予測不能なことが頻発する不透明な状況は続くとの見通しを示したうえで、政治と経済が一体となり、日本として個々の課題に対しどのようなスタンスをとるのかをしっかりと定め、難局を打開していかなければならないと強調。経団連はこれまで以上に当該国との対話をしっかりと進めるなかで、単なる友好親善にとどまることなく、具体的な協力関係を拡充していくことが課題であるとの認識を示した。

中東情勢は緊迫化しており、国際社会にとって大きなリスク要因であると指摘したうえで、日本がエネルギーを中東に過度に依存しているという現実や地球規模の気候変動問題という課題をしっかり踏まえて、エネルギー問題について真正面から議論し、アクションをとる年にしたいと述べた。

【総務本部、広報本部】