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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月30日 No.3440 モラヴィエツキ・ポーランド首相講演会を開催 -日本企業による投資や技術協力を期待

モラヴィエツキ首相(左)と中村副会長

経団連は1月20日、東京・大手町の経団連会館でポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相による講演会を開催した。経団連側は中村邦晴副会長はじめヨーロッパ地域委員会のメンバーらが出席した。

昨年、日本とポーランドが国交樹立100周年を迎えたことを契機に来日したモラヴィエツキ首相は、ポーランドの経済状況や投資環境について説明し、両国の経済関係の強化を求めた。発言の概要は次のとおり。

◇◇◇

ポーランドは1989年に社会主義体制から民主主義体制に転換して以降、経済を開放して成長を続けている。2018年のGDP成長率は5.1%であり、昨年は欧州諸国の経済が停滞するなかで4%も成長した。GDPは5000億ユーロに達し、世界で22位、英国が離脱した場合EUで5位、中東欧で1位である。ポーランドと隣国ドイツの人口の合計は、日本とほぼ同じ約1億2000万人であり大きな市場となる。

ポーランドはEUの主要国としてさらなる経済成長を達成するため、投資環境を整備している。まず、投資環境を生み出すインフラとして、新しい中央空港の建設を進めている。空港、高速鉄道、高速道路を組み合わせ、ポーランドを中東欧のハブにすることを目指す。高速道路については、東西に加え、南北のルートを結ぶプロジェクトを実施している。

次に、海外企業の投資を誘致するため、経済特区を設置して、イノベーションに積極的な企業に税制優遇措置を提供している。また、中東欧における技術のハブになることを目指し、18年には政府の研究開発予算をGDPの1.2%に増やした。教育水準が高い労働力が豊富であり、有名な技術系の大学があるため、最先端の技術を有する世界各国の企業が研究開発センターを設置している。

イノベーションの推進が経済成長にとって最善の道であることは、日本の成功例が示している。今後、日本企業による技術協力を期待している。具体的には、二酸化炭素(CO)の排出量の削減に向けて、エネルギー技術に関する協力を進めたい。ポーランドは電力の8割強を石炭火力発電に依存しているが、昨年12月にEUが2050年にCOの排出量を実質ゼロにすることを打ち出し脱炭素化を求める声が強まっている。そこで、クリーン・コール・テクノロジー(環境に優しい石炭利用技術)や水素技術の活用、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入に向けて日本企業と協力したい。

また、自動車産業においても、COの排出量削減に取り組んでいる。例えば、トヨタ自動車がハイブリッド車のエンジンの生産工場を設立した。加えて、ポーランドは電気自動車用のリチウムイオンバッテリーの欧州最大の輸出国である。このほか、ヨーロッパの主要な電動バスを輸出している。

【国際経済本部】

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