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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年2月6日 No.3441 新たな「食料・農業・農村基本計画」ならびに農福連携の推進に向けた取り組み聞く -農業活性化委員会

政府において「食料・農業・農村基本計画」の改定に向けた議論が進められるなか、経団連は1月21日、都内で農業活性化委員会(十倉雅和委員長、佐藤康博委員長、磯崎功典委員長)を開催し、農林水産省の末松広行事務次官ならびに浅川京子総括審議官から同基本計画改定への検討状況について、日本農福連携協会の皆川芳嗣会長から農福連携の取り組みについて聞くとともに懇談した。概要は次のとおり。

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冒頭、末松次官があいさつし、「わが国農産物は近年、各国から高い評価を得ており、この好機を活かすためにも、輸出・海外展開の促進をはじめさまざまな場面で経団連との連携を深化させていきたい」と述べた。

続いて浅川総括審議官が同基本計画改定に関する検討状況について説明。現基本計画下における農政改革の進捗状況に触れたうえで、「新たな基本計画は、人口減少による国内マーケットの縮小、農業集落の存続への危惧、自由貿易協定の締結による海外市場獲得の可能性拡大等、わが国農業が直面する変化を踏まえる必要がある」と指摘した。具体的には、(1)食料の安定供給の確保(輸出の促進や流通の合理化による需要の多様化への対応、消費者に対する国内農業への理解促進を通じた国産農産物の消費拡大等)(2)農業の持続的な発展(スマート農業技術の現場実装等による担い手不足への対応、世界市場にも対応した高収益作物等への転換等)(3)農村地域の維持発展(地域資源を活用した所得と雇用機会の確保、地域の支えとなる「関係人口」(注1)の拡大等)――の施策の方向性を示した。

また、皆川会長が「農福連携が創る新しい社会」をテーマに講演。障がい者数全体が増加傾向にあるなか、その雇用の拡大が求められる一方、農業サイドでは深刻な人手不足が顕在化しており、この双方の課題にアプローチする一つの方策として、障がい者の農業分野での活躍を目指した「農福連携」は位置づけられると説明した。そのうえで、「農業経営の発展ならびに障がい者雇用の拡大だけでなく、障がい者の自信や生きがいの創出、高齢者・生活困窮者等の就労・社会参画支援等へと裾野が広がることも期待される。今後はさらなる推進を目指し、『ノウフクJAS』(注2)の設置やノウフク・アワードの授与等、官民を挙げた取り組みを充実させていくので、経済界からの積極的な関与・支援をお願いしたい」と述べた。

懇談では、佐藤委員長ならびに磯崎委員長からそれぞれ「若手の新規就農者の確保を重要視しており、他産業と比較した農業の魅力をいかにプロモーションしていくかが課題」「わが国農業の競争力を維持するためには、農地集積・集約による一定程度の規模拡大が重要」との発言があり、末松次官は「経済界のノウハウも活かしながら一緒に解決していきたい」と応じた。

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なお、講演に先立って農業活性化委員会で承認された提言案「新たな『食料・農業・農村基本計画』に対する意見―Society 5.0時代における農業構造改革に向けて」を、十倉委員長から末松次官に手交し、新たな基本計画への反映を求めた。

(注1)関係人口=移住した定住人口や観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関わる人々

(注2)ノウフクJAS=障がい者が携わった農林水産物・加工食品の規格

【産業政策本部】

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