経団連の中西宏明会長は3月9日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
中西会長は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止については極めて重要な局面にあり、経済界も最大限の取り組みを行っていることに言及。その一環として実施した会員企業の取り組み状況に関する調査の結果、約7割がテレワークを実施済みまたは実施予定、9割超が時差出勤を実施済みまたは実施予定と回答、多くの企業で積極的に感染症拡大防止策が講じられていると述べた。
一方、新型コロナのマーケットへの影響は極めて深刻だと指摘。交通機関や観光、中小企業の資金繰りで懸念が生じており、また、感染拡大が長引くほど影響は大きく、世界的にビジネスが停滞しかねないとした。そのうえで、今回の景気悪化は金融機関、事業会社ともバランスシートは健全な状態である点で、リーマンショックの時とは様相が異なると指摘。未知のウイルスによる感染症の拡大を一日も早く抑え込むため、新型コロナ対策を最優先に、官民一体で全力を挙げて取り組み、一日も早くねじ伏せなければならないと述べた。
Society 5.0に関しては、その実現を通じて日本の経済成長を図ることが経団連会長就任以来一丁目一番地の政策課題と強調。提言「Society 5.0―ともに創造する未来」で示した薔薇色の未来の実現にはデジタル技術の社会実装が不可欠だとしたうえで、デジタル化への対応を加速し、自社の強みとするため、さらに一歩進んだ議論が求められると指摘。経団連がデータに関するルール・メーキングやガバナンスのあり方など具体的な課題の解決に取り組み、この面で世界をリードしていくとの決意を語った。
また、東日本大震災の発生から丸9年を迎えるなか、被災地の復興は道半ばだと指摘。被災地を震災前の姿に戻すことにとどまらず、この9年間の世の中の変化を正面から受け止めるような復興計画を立てる必要があるとの考えを示した。
【広報本部】