経団連は5月19日、提言「新型コロナウイルス感染拡大に伴うスタートアップ支援策を求める」を公表した。新型コロナのパンデミックに対する政府の中小企業者向け支援策は、スタートアップの経営環境や特性から利用できないケースも散見されるため、スタートアップに照準を当てた支援策が必要である。提言のポイントは次のとおり。
■ 資金繰り支援
資本金額や従業員数により「中小企業者」の定義に該当しないことで、政府の資金繰り支援策を利用できないスタートアップも存在することから、中小企業向けとは異なる要件の支援策を求める。また、研究開発型スタートアップのように収益が顕在化するまで時間がかかる企業は、売上減少を要件とする支援策を利用できないことから、当該要件の代替として、成果指標の下振れを要件として認めることを求める。さらに、代表者の連帯保証に過度に依存せず、新株予約権や資本性ローンなど、資金提供枠組みを多様化することを希望する。
そのほか、官民ファンドによるスタートアップへの直接投資や、スタートアップを救済するベンチャーキャピタルへの出資を望む。
■ 雇用維持・確保
雇用調整助成金により雇用維持を支えるとともに、需要が低下した企業から他の企業への在籍出向を促進し、日本全体で雇用調整を行うことを検討すべきである。また、成長企業を支援するために、雇用吸収力の高い企業への採用関連費用の助成または税制の優遇措置などの仕組みが必要である。
■ オンライン化の推進
行政手続きおよび民間取引における押印や紙の書類提出慣行を見直し、システム導入に対する補助金の創設やガイドラインの策定等により、完全オンライン化を促進すべきである。また、将来的な法整備の検討を含めて、オンラインの株主総会を実施する環境を整備すべきである。
【産業技術本部】