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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年6月11日 No.3456 「外国人児童生徒に対する教育のあり方」 -明治大学の佐藤特任教授が講演/教育・大学改革推進委員会企画部会

経団連は5月18日、教育・大学改革推進委員会企画部会(宮田一雄部会長)をオンラインで開催し、明治大学国際日本学部の佐藤郡衛特任教授から、外国人児童生徒に対する教育のあり方について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 外国人児童生徒教育の現状

日本では外国人に就学義務はない。希望者に対しては、日本人と同等の配慮をすることを原則としているが、昨年国が実施した調査によると、外国人の子ども約2万人が不就学である可能性があることが判明した。加えて、日本の公教育の枠外とされる外国人学校やインターナショナルスクールへの就学者数も正確には把握できていない。外国人児童生徒等の学習を保障するための「特別の教育課程」による日本語指導は進みつつあるが、日本語指導と教科の統合的指導を行う担当教員が不足しており、指導を受けている外国人児童生徒は就学人数の約6割にとどまる。

■ 外国人児童生徒教育の今後の方向性

これまでの外国人児童生徒教育は対症療法的な施策に終始してきたが、新しい在留資格制度の創設に伴い外国人の子どもの増加が今後も見込まれる。私が座長を務める「外国人児童生徒等の充実に関する有識者会議」は、今年3月に公表した報告書において、(1)外国人の子どもの就学促進の観点から、自治体は学齢簿に準ずるものを作成するとともに就学状況を確認すること(2)学校教員以外の者も学校で正規に指導できるよう、特別免許状等で日本語教師を積極的に活用すること(3)日本語指導担当教員の専門性を向上させるうえでの、日本語指導の資格の創設(4)高校段階での日本語指導の教育支援の開始――等を提案した。

私見ではあるが、学齢期の子どもを帯同する外国人には、子どもに国公私立学校、外国人学校、インターナショナルスクール、通信教育など日本で何らかの教育を受けさせることを在留の条件とすべきである。また国・自治体は、多様な学びの場を保障すべきである。

これまで外国人児童生徒教育への支援においてNPO団体が大きな役割を担ってきたが、日本に人材を呼び込むための戦略やSDGs(持続可能な開発目標)の目標4「質の高い教育をみんなに」の達成、多様な人材の育成という観点から、企業にも外国人児童生徒教育を支援してほしい。

【SDGs本部】

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