経団連は5月、産業競争力強化委員会(進藤孝生委員長、岡藤正広委員長)において、わが国経済社会の競争力強化の観点から幅広く外国人材の活躍・共生を推進することを目的として、新たに外国人政策部会を設置した。同部会は、人口問題委員会の「外国人材受入問題に関するワーキング・グループ」を移管・改組したもので、外国人材の活躍を推進する約30社が参画する。
7月27日、第1回となる会合をオンラインで開催し、出入国在留管理庁政策課の近江愛子課長から、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた外国人材受け入れ政策の現状と課題について聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 新型コロナが技能実習生・労働者の受け入れにも影響
新型コロナウイルス感染症の拡大で、技能実習生の受け入れ企業の活動が休止して実習継続が困難になったり、留学生の内定が取り消されるなど、外国人の就労環境が影響を受けている。法務省では特例措置として、こうした方々に最大1年間の在留資格「特定活動」を付与し、関係省庁と連携して再就職先のマッチングも支援している。7月20日時点で420人が再就職を決めており、製造業・飲食サービス業等から農業に就職した例が多い。
現下の水際対策については、在留外国人やその家族の出入国の円滑化に関する指摘もあるが、政府全体で議論して進めたい。
■ 特定技能制度の見直しが課題
2019年度から導入された在留資格「特定技能」は、労働力不足が深刻な14分野において「相当程度の知識又は経験」および日本語能力を有している外国人を対象に就労を認めている。5月末の同在留資格による外国人数は5225人で、足元では技能実習生・留学生の在留資格変更を中心に伸びている。他方、海外在住の外国人については、新型コロナの影響で特定技能試験が延期され、日本への上陸許可も下りないことから、入国者数は増えていない。7~8月にかけてようやく試験が再開されつつある。
今後は、受け入れ分野の追加について適切に検討していくとともに、来年4月で制度施行後2年となることから、実態把握と見直しが必要となる。また、今年度中にも留学生の起業を促進する在留資格を措置することとしている。
続く懇談では、参加企業から、米国の動きも踏まえた高度人材獲得施策、在留管理データベースの整備等の重要性の指摘があった。これに対し近江課長からは既存の制度も活用しつつ検討したい旨の回答があった。
同部会では今後、来年度に政府が策定する「第2次出入国在留管理基本計画」のスケジュールも見据えつつ、外国人材をめぐる諸課題を議論することとしている。
【産業政策本部】