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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年8月27日 No.3465 「デジタル広告市場の競争評価 中間報告」と「デジタル市場競争に係る中期展望レポート」について聴く

経団連は7月13日、デジタル市場のルール・環境整備に関する懇談会をオンラインで開催し、内閣官房デジタル市場競争本部事務局の佐野究一郎参事官から、今年6月に取りまとめられた「デジタル広告市場の競争評価 中間報告」ならびに「デジタル市場競争に係る中期展望レポート」に関する説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ デジタル広告市場の競争評価 中間報告

昨年秋ごろから政府のデジタル市場競争本部において、デジタル広告市場における競争の評価に関する検討を開始した。関係者へのヒアリングを行うとともに、政府のワーキング・グループで議論を行い、中間報告を取りまとめた。今後、パブリックコメントの結果を踏まえさらに具体的な検討を進め、今冬には最終報告を取りまとめる予定である。

同中間報告では、デジタル広告市場の現状を踏まえた対応の基本的方針として、公正性の確保や透明性の向上、一般消費者を含む市場関係者による選択の可能性の確保を掲げた。また、枠組みの策定にあたって、イノベーションによる課題解決を促すとともに、市場競争環境に及ぼす影響等を踏まえ横断的な対応を進めることとした。

今後、デジタル広告の質や取引の透明性の確保、公平かつ透明性の高いデータ利活用の促進、プラットフォーム事業者の垂直統合による懸念の解消、プラットフォーム事業者による手続き等の公平性の確保、パーソナルデータの取得・利用にかかる懸念の解消といった点についての取り組みを検討する。課題ごとにどのようなルールが適切かつ実効的なのか、関係者に話を聴きながら詳細に議論していく。

■ デジタル市場競争に係る中期展望レポート

同レポートでは、リアルとサイバーの融合によりSociety 5.0の実現が近づくなか、デジタル市場競争の構造のあり方をどう考えるかを整理した。

デジタルプラットフォーム事業者は今後、強い顧客接点を基に顧客接点をさらに拡大するとともに、リアル分野・上流へ進出することが見込まれる。その結果、デジタル市場において勝者総取りとなる懸念や、最終的には個人の判断がコントロールされる懸念が存在する。また、データの信頼性欠如や膨大なデータ処理コストに関するリスクに直面することも予想される。

こうした点を踏まえると、デジタル市場においては今後、多様な主体による競争を生み出すとともに、信頼の基盤となるデータ・ガバナンスを確立することが重要となる。そこで、データ・ガバナンスのあり方をテクノロジーで変えるべく、“Trusted Web”というコンセプトを示した。これは、データへのアクセスのコントロールを、それが本来帰属すべき個人・法人等が行うことで、データの活用から生じる価値をマネージできる仕組みである。今後、能動的に競争をつくり出すために、テクノロジーを先読みしながら、ルール整備に閉じない検討を進めることが必要と考えている。関心がある企業の意見を聴いていきたい。

◇◇◇

懇談では、“Trusted Web”のあり方や、国際協調の進め方等について意見を交わした。

【産業技術本部】

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