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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月3日 No.3466 イラン現地情勢等についてジェトロの中村テヘラン事務所長から聴く

経団連は8月7日、日本貿易振興機構(ジェトロ)の中村志信テヘラン事務所長から、米国の経済制裁および新型コロナウイルス感染症をめぐるイラン国内外の情勢等について説明を聴くオンライン会合を開催した。説明の概要は次のとおり。

■ 新型コロナウイルス感染症の状況

イランにおける感染者数は一度ピークを越えたものの、4月中旬から各種の制限を段階的に緩和し、さらに経済活動を平常化したことで感染者数・死亡者数が増加、7月下旬には累計感染者数は30万人に達しており、中東地域で最も深刻な状況となっている。一方、経済活動を再開した直後のテヘラン市内の様子は、平常どおりの落ち着いた状況であった。

■ イランをめぐる国内外の情勢

2018年5月に米国は、イランと6カ国(米、露、中、仏、英、独)が合意した包括的共同作業計画(JCPOA)から離脱し、対イラン経済制裁を再開した。これにイランは反発し、19年5月から合意の履行義務を段階的に停止した。経済制裁の影響によりイラン国内経済も混乱が続いており、同年11月にはガソリン価格の値上げに反対するデモが発生するなどしている。

そうしたなか、20年1月、米国はイランの革命防衛隊高官を殺害し、イランは中東地域の米軍基地等を攻撃するなど緊張が高まった。イランがロシアや中国等と関係強化を模索する動きもみられる。引き続き、イランをめぐる複雑な国際関係を注視していく必要がある。

■ イラン経済の現状と日本企業の活動支援

イラン経済は、米国による経済制裁により、数年来、深刻なマイナス成長が続いている。原油の輸出禁止で国庫収入の柱が失われ、死活的な困難に直面している。若年層を中心に失業率も高い。輸出入も大幅に減少し、19年の日本との貿易をみると、対イラン輸出は制裁対象の自動車を中心にマイナス90%強となり、イランからの原油輸入は同年5月以降停止したままである。今後は新型コロナウイルスの影響もあるだろう。苦境は続くものの、見方を変えると、こうした苦境を何とか耐え抜くしたたかさをイランは備えているともいえる。

日本企業にとってイランビジネスは、経済制裁による厳しい取引制限に加え、地政学的なリスクなどさまざまな課題がある。他方、イラン市場は、若年人口の大きさ等から将来的な魅力に富む。ジェトロとしては、経済制裁の対象外である医療機器に関する商談会の開催やイラン関連の調査レポートの提供等を通じて、日本企業のイランビジネスを支援していきたい。

【国際協力本部】


<ご参考:ジェトロ イベント情報>

「GITEX Future Stars 2020」(ドバイ)J-Startupパビリオン
ジェトロでは、UAE・ドバイで開催される、中東・アフリカ最大のIT展示会「GITEX Future Stars 2020」に日本パビリオンを設置し、日本発スタートアップのグローバル展開をサポートします。
https://www.jetro.go.jp/events/iib/7e4ce35588afaebd.html

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