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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月10日 No.3467 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入について聴く -税制委員会企画部会

経団連は8月26日、税制委員会企画部会(河村芳彦部会長)を開催し、適格請求書等保存方式(インボイス制度)について財務省主税局税制第二課の馬場洋二郎税制専門官から説明を聴いた。説明の概要は次のとおり。

■ インボイス制度の概要

インボイス制度は、複数税率のもとで適正な課税を確保する観点から導入されるものであり、消費税の仕入税額控除の適用のために保存すべき書類に関する制度変更である。具体的には、仕入税額控除を行う事業者に対し、原則として、一定の仕入れの事実を記載した帳簿および適格請求書(インボイス)等の保存を求めることとなる。

インボイスとは、現行の区分記載請求書の記載事項に発行者の登録番号、適用税率、消費税額等を加えたものであり、様式は問わないが、発行にはインボイス発行事業者として事前の登録が必要となる(免税事業者は登録を受けることができない)。

2023年10月からの導入に先駆けて、21年10月からインボイス発行事業者の登録申請が開始され、導入と同時に登録を受けるためには、原則として23年3月末までに申請しなければならない。

インボイスは、各納品書や月次請求書で対応するケースのほか、相互の関連が明確な複数書類により記載要件を満たすことも可能である。また、買い手が作成し売り手に交付する支払通知書も、売り手の登録番号等の記載要件を満たし、売り手の確認が得られれば、これを保存することにより仕入税額控除が認められる。

なお、インボイスの記載事項にかかる電磁的記録を提供し、これを電子帳簿保存法に準じた方法により保存することも認められる。

インボイスを発行できない免税事業者からの仕入れについては仕入税額控除が適用できないこととなるが、制度導入後6年間は、免税事業者からの仕入れに対しても一定の割合(80%・50%)の仕入税額控除の適用を認める経過措置が設けられている。免税事業者から仕入れを行う事業者としては、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法(下請法)に抵触しない範囲で免税事業者との取引価格の見直しを行うなど、対応を検討する必要がある。

■ 事業者側から寄せられた質問への回答

インボイス制度では、一つのインボイスにつき、税率ごとに1回の端数処理を行うこととなるが、例えば、月次請求書と納品書を合わせてインボイスの記載要件を満たす場合では、納品書ごとに端数処理した消費税額について、納品書に記載するほか月次請求書に記載することも可能である。

なお、品名ごとに端数処理を行っている場合にはシステム改修が必要となる。

社員の通勤費や出張旅費については、現行どおり、通常必要と認められるものについては帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる。

相手方からインボイス交付の求めがなくとも、相手が消費者か事業者かの別を問わず、一律にインボイスを発行することは可能である。

なお、同制度へのより良い理解を深めるべく、国税庁がパンフレット「適格請求書等保存方式の概要」をウェブサイトに公開しているので参照いただきたい。

【経済基盤本部】

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