経団連は8月26日、地域経済活性化委員会企画部会(徳川斉正部会長)をオンラインで開催し、自治体間の広域連携の推進をテーマに、茨城県水戸市の高橋靖市長ならびに青森県八戸市総合政策部の岩瀧大介次長兼政策推進課長から、各市における取り組みについて聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 「水戸市における広域連携の取り組みについて」
水戸市・高橋市長
水戸市では、周辺の8市町村(笠間市、ひたちなか市、那珂市、小美玉市、茨城町、大洗町、城里町、東海村)とともに「茨城県央地域定住自立圏」を形成している。2008年に9つの市町村の首長をメンバーとして、茨城県央地域の発展に向けた協働・連携を目的とした「県央地域首長懇話会」を設立しており、その枠組みのなかで同自立圏に必要な広域連携事業に関する協定を締結している。
同自立圏では、「安心して住み続けられる、笑顔で行き交う圏域」を目指し、生活機能の強化等の施策を進めている。具体的な取り組みとしては、「診療所運営支援事業」として、水戸市休日夜間緊急診療所の運営が挙げられる。休日夜間緊急診療所を設置していない近隣市町村が運営費の一部に対し財政支援を行い、圏域の初期救急医療の充実を図るもので、19年度の利用者数は約1万5000人、このうち、小児科については約4割が水戸市外からの利用者となっている。
水戸市は、今年4月に中核市へと移行した。これにより、茨城県央地域定住自立圏から、今後は役割の拡大と財政支援が拡充される連携中枢都市圏への移行について検討する。財政面や共通テーマの設定などにおいて、水戸市以外でのメリットをどのように生み出すかが今後の検討における課題となる。
■ 「八戸圏域連携中枢都市圏における取り組みについて」
青森県八戸市・岩瀧次長兼政策推進課長
八戸市は、周辺の三戸町、五戸町、田子町、南部町、階上町、新郷村、おいらせ町の7自治体とともに「八戸圏域連携中枢都市圏」を形成している。連携中枢都市圏には「圏域全体の経済成長の牽引」「高次の都市機能の集積・強化」「生活関連機能サービスの向上」に取り組むことが求められるなか、同圏域では現在、ドクターカー運行事業をはじめ23施策78事業に取り組んでいる。同事業では、救急医療における地域格差の緩和と救急患者の救命率および社会復帰率の向上を図ることを目的に、圏域の拠点病院であり、ドクターヘリの基地病院となっている八戸市立市民病院にドクターカーを配備し、ドクターヘリとの一体的な運用を行っている。また、今年度の新たな事業として、地場産品の認知度向上と関係人口の形成・増加を目指すとともに、移住・定住・Uターン等を促進するための交流拠点として、八戸都市圏交流プラザ「8base」を東京都内(日比谷OKUROJI内)に開設し、圏域の総合的なプロモーションを展開している。
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地域経済活性化委員会企画部会では、東京圏から地方への人の流れの創出をテーマに、地方における受け皿となる地方自治体の広域連携についての検討を進めている。
【産業政策本部】