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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月8日 No.3470 伊藤消費者庁長官から消費者行政の現状と展望を聴く -消費者政策委員会

伊藤消費者庁長官

経団連の消費者政策委員会(渡邉光一郎委員長、杉山博孝委員長)は9月18日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、消費者庁の伊藤明子長官から、消費者行政の現状と展望について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

従来の消費者政策は、配慮を要する消費者の保護と悪質事業者への規制を大きな柱としていた。近年は、デジタル化の進展、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の社会情勢の変化や、人口減少、高齢化、世帯の単身化、地域コミュニティーの衰退等による「消費者の孤立化・ぜい弱化」に伴い、消費者政策の対象も変化している。

企業にお願いしたいことは、法令遵守・ガバナンス、消費者との協働の2点である。例えば、景品表示法に基づく公正競争規約(例=特定保健用食品の表示)等の「共同規制」整備への協力や、公益通報者の保護体制の整備、さらには納品期限・賞味期限等の商慣習の見直し等による食品ロス削減の取り組みである。消費者と共創・協働して社会価値を向上させる「消費者志向経営」を推進するため、消費者庁では、2018年度から優良事例表彰を行っている。

一方、消費者の側も、環境配慮やフェアトレード、ユニバーサルデザイン、ダイバーシティ等の観点から、自分で考える消費(エシカル消費)を推進することが必要である。こうした事業者・消費者双方の取り組みにより、持続可能な開発目標(SDGs)12「つくる責任・つかう責任」が達成できる。

直近の消費者庁の取り組み・課題は、年間100万件に及ぶ消費生活相談のデジタル化、越境取引への対策強化、デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引における企業の自主的取り組みの促進と必要な法的枠組みによる消費者利益の確保、詐欺的な定期購入商法の規制強化などの通信販売に関する消費者保護が挙げられる。行政は、従来の法執行等による消費者被害の防止に加えて、消費者の自立と事業者の自主的取り組みの加速化、持続可能な消費社会の実現に向けた消費者と事業者との協働の促進を図っていく所存である。

◇◇◇

説明後、デジタル化に伴う市場環境の整備、消費者教育の必要性、官民協議会や自主的ルール・法的枠組みのあり方等について、活発な意見交換を行った。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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