経団連の日本ブラジル経済委員会(飯島彰己委員長)は9月29日、ブラジル全国工業連盟(CNI)と日本ブラジル経済合同委員会をオンラインで開催した。日本側から飯島委員長をはじめ約160名が、ブラジル側からアンドラーデ会長をはじめ約70名が出席した。
■ パンデミック下の日伯双方の対応状況および経済情勢
冒頭、CNIのアンドラーデ会長とブラジル日本経済委員会のバルトロメオ委員長ならびに飯島委員長があいさつした。
続いて、日伯双方が新型コロナウイルスをめぐる対応状況と経済情勢について説明した。日本側は、国内の感染状況、経済情勢、政府や経済界の取り組みについて紹介。ブラジル側は、「今年3月以降、感染が拡大し、2020年上期のGDP成長率は12.4%減と経済にも深刻な影響を与えている。政府は、医療体制の整備、中小零細企業への支援、労働法制の柔軟化、弱者救済といった対策を打った。その結果、5月以降、製造業、サービス業、小売業など回復基調にあり、雇用情勢も影響が低減しつつある」と報告した。
■ 多方面にわたる今後の日伯経済協力の可能性
続いて、ウィズ・ポストコロナ期における日伯経済協力のあり方等について日伯双方が報告した。
日本側は、今後の日伯の経済協力の主な方向性として、(1)医療支援等を通じた「パンデミックの克服」(2)資源、食料、インフラなどへの「投資」(3)デジタル化等の「イノベーション」分野での潜在力の大きさ――の3点を提起したうえで、参加企業がブラジルの地域社会における医療用品・機器の提供、人工呼吸器の生産支援、次世代モビリティー社会の構築、スタートアップ企業への支援等の具体的な取り組みについて説明した。
ブラジル側は、コロナ禍での各社の事業継続に向けた活動のほか、医療品やエネルギー燃料としてのエタノールの利活用、食肉等の食料の海外への安定供給、将来を見据えた職業訓練や研究開発支援等について紹介した。
そのほか、今後の日本とブラジルの経済関係を強化していくための制度的基盤として、日本・メルコスールEPAの早期実現の必要性を再認識した。
次回の日本ブラジル経済合同委員会は、来年に東京での開催を予定している。
【国際協力本部】