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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月15日 No.3471 外務省から最近の日韓関係と今後の見通しについて聴く

経団連は9月16日、オンライン会合を開催し、外務省アジア大洋州局の小野健北東アジア第一課長から最近の日韓関係と今後の見通しについて説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日韓関係における日本政府の立場

わが国の日韓関係の基本的立場について安倍晋三首相(当時)は、今年1月20日の施政方針演説において、北朝鮮との諸問題を解決するため、「米国、韓国をはじめ国際社会と緊密に連携」し、そのうえで「韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり」、「国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待する」と述べている。

■ 両国間の懸案の現状と対応

日韓の間にはいくつかの懸案が存在している。

旧朝鮮半島出身労働者に関する問題について、2018年10月、韓国の大法院は、原告の損害賠償請求権は日韓請求権協定(1965年12月発効)の適用対象に含まれない旨判示し、被告日本企業に損害賠償の支払いを命じた。これに対し、2019年1月、日本政府は、同判決をめぐり日韓請求権協定に基づく協議を要請したが、韓国側は応じなかった。その後も、韓国側は同協定に基づく仲裁付託の日本政府の通告等に応じなかった。今年8月4日に、韓国地裁による当該日本企業の資産の差し押さえ手続きの公示送達の効力が発生した。

韓国向け輸出管理の運用については、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について、輸出管理の不適切事案が発生していることなどを理由に昨年7月4日から個別に輸出許可申請を求めている。あわせて、昨年8月28日に韓国の輸出管理上のカテゴリーを見直す政令が施行された。これに対し、今年6月、韓国側はWTOプロセスを再開し、パネル設置を要請した。今年7月に3品目に関するWTOパネルが設置され、今後審議が行われる予定である。

16年11月締結の日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)については、昨年8月に韓国政府が日本政府に対して終了通告を行った。しかし、昨年11月22日にその終了通告の効力を停止する旨を発表し、現在に至っている。

■ 最近の外交上の取り組み

こうした状況ではあるが、引き続き、外交上できることは進めていきたい。具体的には、第1に、今年7月の九州を中心とした豪雨災害、8月の韓国での豪雨災害の際には、日韓間で相互にお見舞いのメッセージの交換が行われた。こうした人道的な視点に立った外交は引き続きしっかりと進めたい。第2に、コロナ禍におけるビジネス上必要な人材等の往来再開について、日本政府は韓国を含む感染状況が落ち着いている国・地域を対象に協議・調整を開始している。日韓双方の事情を勘案しつつ協議を行い、早期の実現を目指していきたい。

【国際協力本部】

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