Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月22日 No.3472  都立高校改革の取り組みと都立高校の現状 -教育・大学改革推進委員会企画部会

経団連は9月29日、教育・大学改革推進委員会企画部会(宮田一雄部会長)をオンラインで開催し、東京都教育庁都立学校教育部の光永功嗣都立高校改革企画調整担当課長から、都立高校改革の取り組みと都立高校の現状について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 都立高校改革の取り組み

1997年度から2011年度までの第1期の都立高校改革では、生徒数の急激な減少に対応するために、学校の規模と配置の適正化を進めてきた。同時に、生徒の多様化に対応するために、中高一貫校や、小中学校時代に不登校経験のある生徒等を主に受け入れるチャレンジスクールなど新たなタイプの学校を設置するとともに、既設校のなかから難関国立大学等への進学を希望する生徒を対象とした進学指導重点校や生徒に基礎学力を身につけさせることを目的としたエンカレッジスクールを指定するなど、都立高校の多様化・特色化を図ってきた。

学校規模の適正化が一段落した12年度以降は、第2期の改革として、教育の質の向上に取り組んでいる。19年度からは、「新実施計画(第二次)」に基づいて、21年度までの3年間、(1)高大連携や産学連携の積極的な推進による専門的・実践的な学びの充実(2)すべての学校での国際交流の推進やグローバルな教育環境の整備(3)情報技術の革新に対応した能力の育成や個々の生徒に応じて最適化された学びの実現――の3つを中心とした改革を進めている。

具体的には、東京都教育委員会と東京都立大学などとの間での高大連携協定の締結や、IT関連企業や専門学校との連携による工業高校でのIT人材の育成、グローバルに活躍できる人材の育成を目的とした小中高一貫教育校の設置準備、国際バカロレア教育の充実と海外大学への進学支援、生徒一人一台端末環境等のICT環境の早急な整備等に取り組んでいる。

■ 都立高校を取り巻く現状

都立高校を取り巻く現状として、(1)進学志向が高まる一方で、就職意識は低下していること(2)私立高校授業料の実質無償化により応募倍率が低下しており、特に商業科と工業科は1倍を切っていること(3)日本語指導が必要な外国人生徒や発達障害などで特別な支援が必要な生徒が増加傾向にあること(4)都内公立中学校3年生の生徒数は今後10年間増加傾向にあること――などが挙げられる。

こうした現状も踏まえ、今後は、Society 5.0の到来に向けた人材の育成はもちろん、専門学科の魅力向上や個別最適化した学びの実現、困難を抱えた生徒に対する支援などを重点的に展開して、生徒・保護者から選ばれる都立高校になりたいと考えている。そのためには、ICT化の一層の推進や外部人材のさらなる活用、企業や大学、NPO等との連携等が必要だと考える。

【SDGs本部】