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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月22日 No.3472 2040年自社排出分のカーボンニュートラルを目指して -〈連載〉わが社のチャレンジ・ゼロ/ENEOSホールディングス

Challenge Zero

ENEOSホールディングスは、2040年長期ビジョンを策定し、「アジアを代表するエネルギー・素材企業」への成長を目指すと同時に、「低炭素・循環型社会への貢献」を掲げている。

具体的には、環境ビジョンとして、2030年に約1000万トンのCO2削減を目指すほか、2040年には自社排出分のカーボンニュートラルを目指すことを打ち出した。

その実現に向けて、当社は、次世代エネルギーとして期待される水素について、燃料電池自動車向け水素ステーションの整備や、CO2フリー水素の製造・貯蔵・輸送等の技術開発を進め、また、再生可能エネルギーについては、メガソーラーはもちろんのこと、洋上風力プロジェクトにも参画した。このほか、米国ではCO2排出抑制と原油増産を両立するCO2-EOR(石油増進回収法)、金属のリサイクルなど、幅広いイノベーションを推進している。主な取り組みは次のとおり。

■ 水素

当社グループのENEOSは、燃料電池自動車や燃料電池バスなどのモビリティー分野における低炭素化に貢献するため、水素ステーション事業を推進している。現在では四大都市圏(首都圏、中京圏、関西圏、北部九州圏)を中心に、国内最多となる44カ所の水素ステーションを運営し、国内シェアの3割強を占めている(20年10月時点)。

また、中長期的な低炭素社会の実現のため、CO2フリー水素の国際的なサプライチェーン構築に向けても積極的に取り組んでいる。例えば、豪州の褐炭から製造されたCO2フリー水素を低温で液化し、日本へ輸出する実証事業である技術研究組合「CO2フリー水素サプライチェーン推進機構」に参画しており、このほか、常温で液化する有機ハイドライドの開発にも取り組んでいる。

■ CO2-EOR

当社グループのJX石油開発は、従来、温室効果ガス排出削減を意図して油田の随伴ガス燃焼廃棄を抑制する事業をベトナムとアブダビで実現している。現在は一歩進めて、米国において、石炭火力発電所から排出されるCO2を分離・回収し、老朽油田に圧入することで、原油の飛躍的な増産とCO2の貯留を同時に実現する、Petra Nova CCUSプロジェクトを推進している。これは、世界最大規模で民間が商業ベースで推進するもので、今後も、環境負荷の低減とエネルギー資源の安定供給の両立を目指す。

■ 金属資源のリサイクル

当社グループのJX金属は、電気自動車などの環境車の急速な普及、これに伴うリチウムイオン電池(LiB)用金属資源の需要拡大、将来的な使用済みLiBの大量発生を踏まえ、車載用LiBのリサイクル技術を開発することで、同LiB用金属資源の確保と電気自動車の普及加速に貢献を目指す。10年から他社に先駆け、敦賀工場(福井県敦賀市)において、民生用LiBのリサイクル実証試験を国内最大規模で行っており、20年2月に次のステップとして、上記技術を基に、車載用LiBにフォーカスしたクローズドループ・リサイクルの技術開発を進めるべく、日立事業所(茨城県日立市)にベンチスケール設備を建設し、稼働を開始した。

当社は、これらをはじめとする幅広いイノベーションに挑戦し、低炭素・循環型社会の実現に貢献していきたい。

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