Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月29日 No.3473  ガルージン駐日ロシア大使と懇談 -日本ロシア経済委員会

経団連(中西宏明会長)の日本ロシア経済委員会(國分文也委員長)は10月8日、東京・大手町の経団連会館でミハイル・ガルージン駐日ロシア連邦特命全権大使との懇談会を開催した。冒頭、國分委員長が「ロシアのビジネス環境等に関するアンケート」の結果を紹介し、許認可手続きや通関手続きの簡素化・透明化・迅速化、国産品優遇措置の是正など、ビジネス上の課題解決についてロシア政府の協力を求めた。続いて、ガルージン大使による、最近のロシア情勢や日露関係等に関する説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 新型コロナの影響と経済危機対策

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、ロシア経済も影響を受けたが、主要産業への影響は限定的であり、マクロ経済の安定を維持している。今年のGDP成長率はマイナス3.9%と予想されているが、来年はプラス成長に回帰し、第3四半期にはコロナ危機以前のGDPの水準に回復する見込みである。無利子融資、納税の猶予・免除など企業向け支援と、失業手当の増額、子育て家庭への直接給付など国民向け支援を合わせ、4兆円規模の連邦政府・地方政府の支援策が適切に実施された結果、ロシア経済は当初の想定より良好である。

ポストコロナ時代を想定して、7月に「2030年までのロシア連邦発展の国家目標」が策定された。その柱の1つがデジタルトランスフォーメーションの推進である。国民向け行政サービスでは、納税や公共料金支払い、入学手続きなどの完全なデジタル化が実現している。

■ 日露関係の現状と展望

安倍晋三首相(当時)とプーチン大統領の定期的な対話を通じて日露関係は進展した。18年から19年の日露交流年の行事では、両国民の相互理解が深まった。菅義偉首相のもとでも日露の肯定的な関係が継承されることを期待している。

エネルギー協力など多くの日露間の有望プロジェクトが順調に進んでいる。9月25日には、ロシア最大の石油会社ロスネフチと資源エネルギー庁、日本企業との対話も実施された。

ロシアは「スプートニクV」という新型コロナウイルスのワクチンを開発した。ロシア政府は同ワクチンの日本への輸出だけでなく、技術移転やライセンス生産について日本企業との協力を望んでいる。日本の製薬企業に関心を持ってほしい。

日本とロシアの間に、平和、友好、善隣、協力についての総合的、包括的な新しい条約が締結されるならば、日露関係を質的に新しいレベルに引き上げるための強固な基盤となる。その観点から日本政府との対話を継続する用意がある。

【国際経済本部】