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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年11月26日 No.3477 産学官の関係者が海洋開発について議論 -海洋開発推進委員会特別会合を開催

経団連は11月10日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会(山内隆司委員長)の特別会合を開催した。同会合は、第3期海洋基本計画(2018年5月閣議決定)で海洋の産業利用の促進が強調されたことを受けて、産学官連携の強化を目的に毎年開催している。同委員会、関係府省庁、海洋関連団体、学界の関係者が参加し、内閣府の一見勝之総合海洋政策推進事務局長から、わが国の海洋政策について、また海洋研究開発機構(JAMSTEC)の東垣理事から、わが国の海中ロボットの現状と課題についてそれぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ わが国の海洋政策(内閣府・一見事務局長)

政府は第3期海洋基本計画に基づいて、海洋を活用してわが国の重要課題に対応する施策を実施している。重要課題には、人口減少と高齢化が進むなかでの経済力の維持と、厳しい安全保障環境の2つがある。

わが国の経済力を維持するための施策としては、海洋の産業利用、海洋調査や研究開発、北極政策などがある。例えば、洋上風力発電の推進のため、18年度に再エネ海域利用法が成立し、最長30年間の海域の占用が可能となった。すでに4カ所の促進区域が指定され、洋上風力発電の事業化が始まっている。また、造船業の厳しい事業環境等を踏まえ、わが国海事産業の再構築プランの検討が進んでいる。

安全保障に対応するための施策としては、海洋の安全保障の確保、海洋状況把握(MDA)の強化などがある。わが国の領海など周辺海域への外国船舶の侵入を防ぐため、海上保安の強化に努めている。

21年度の海洋関連予算の概算要求では、政府として前年度比約9%増の6260億円を要求している(防衛省の要求額を除く)。政策の実現に向けて、産業界にも一層の支援を期待している。

■ 海中ロボットの可能性(JAMSTEC・東理事)

ドローンの市場が、省人化・無人化などの需要を背景に拡大しているなか、水中のドローンである海中ロボットの技術開発が急速に進展している。海中ロボットを用いると、洋上からのセンサーによる測定に比べて天候や波の影響を受けず、海底への距離も短いため、精度が高い海底のデータが得られる。

近年では、自律的な航行ができる海中ロボットの開発が進んでおり、目標への合理的な経路の探索や、障害物の回避なども自律的に可能となっている。また、従来は、海中調査のためには洋上の船からロボットを投下し、回収する必要があった。現在は、海底に設置されたステーションにロボットが自動で接続し、充電を行うと同時にデータを伝達できる技術の開発も進んでいる。今後、海底資源探査や洋上風力発電の地盤調査、海底送電線の敷設等の効率化が期待される。

海中ロボット技術の開発を推進するため、JAMSTECを中心として、政府や研究機関、産業界、大学が一つとなったオールジャパンの枠組みで取り組む必要がある。産学官の関係者が海中ロボットの技術に関する情報を共有し、わが国の技術規格の国際標準化を進めたい。海中ロボット技術への理解の促進を図り、参入する企業を増やすため、技術のデモンストレーションも重要である。

【産業政策本部】

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