APEC首脳への公式民間諮問団体であるABAC(APECビジネス諮問委員会)はこのほど、2020年の「APEC首脳への提言書」を取りまとめ、ABAC委員に任命されている林信秀氏(みずほ銀行常任顧問)、遠藤信博氏(日本電気会長)、髙橋規氏(三井物産顧問)、代理委員の松木俊哉氏(日本電気執行役員常務)らが、11月13日に梶山弘志経済産業大臣、17日に菅義偉内閣総理大臣、茂木敏充外務大臣に、それぞれ同提言書を手交した。
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ABACは、1995年のAPEC大阪会議において、APEC首脳が「ビジネス界の声」を直接聴くための組織として設立が提唱され、96年に発足した。APECに参加する21カ国・地域の各首脳が、それぞれの国・地域でビジネス界の代表者として指名したABAC委員(59名、2020年10月現在)により構成されている。
ABACは、APECボゴール宣言(1994年)においてAPEC首脳が約束した「2020年までに域内における自由で開かれた貿易・投資を達成する」というボゴール目標の実現に向けて、APECが取るべき政策についての提言を行っている。今年、ボゴール目標の達成期限を迎えたことから、APECでは2020年の先を見据えたビジョンの策定を進めている。
今年のABACは、APECと同様マレーシアが議長国となり、「統合、イノベーション、包摂~経済回復とレジリエンス向上に向けて」をテーマに掲げて提言書を取りまとめた。これは、コロナ禍からの経済回復など、直面する多くの課題を克服するためには、地域レベルの協力を一層強化し、包摂的な貿易政策の推進や安全で利便性の高いデジタルインフラの開発促進を通じて、APECすべての国・地域の経済のさらなるレジリエンス向上を目指したものである。
今年の提言書の主な項目は、次のとおり。
- 地域経済統合
- イノベーション
- 包摂的経済成長
- 持続的経済成長
- APEC新ビジョン