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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年12月17日 No.3480 日星経済関係の展望についてタン駐日シンガポール大使から聴く -アジア・大洋州地域委員会企画部会

タン大使(左)と宮地部会長

経団連は11月20日、アジア・大洋州地域委員会企画部会(宮地伸二部会長)を開催し、ピーター・タン駐日シンガポール大使から、コロナ禍におけるシンガポールの経済政策および日本との協力について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ デジタル技術の活用で新型コロナ拡大を抑制

シンガポールはデジタル技術を積極的に活用して新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に取り組んでいる。Bluetoothによる接触者追跡アプリと、同アプリとやり取りできる接触者追跡端末(トークン)を用いた感染者追跡システムは、個人情報の保護に十分留意したものである。例えば、データの提出は保健省が必要であると判断した場合に限られ、また、保存されたデータも25日後に自動消去される。すでにアプリは人口の45%に普及し、また、多くの世帯が配布されたトークンを活用しており、高い効果を上げている。

■ 自由貿易の推進とデジタル経済分野のルール整備

シンガポールと日本は、重要な貿易・投資のパートナーとして長きにわたり強固な関係を構築している。2002年に、日本にとって初の経済連携協定が発効して以来、両国は共に環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)と地域的な包括的経済連携(RCEP)協定のメンバーとして、自由貿易を推進している。また、今年5月には、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、経済強靱性の強化や持続的な経済成長と地域経済統合確保等に向け、両国が協力していくことを確認し、共同声明を発出した。

今後は、日本とのデジタル経済分野における関係強化を望んでいる。デジタル経済が日常の一部になりつつあるなか、現行のルールや法律は実態に追い付いていない。日本は米国や英国等と、シンガポールは豪州やニュージーランド等との間でデジタル分野における高い水準のルールを確立している。将来的には、日星間でもデジタル経済協定を締結し、データの流通等に関するルールを整備していきたい。

■ 日本企業の誘致推進

シンガポールは先端製造業の誘致を積極的に進めており、今後も日本企業と新素材、AIおよびIoT、3Dプリンティング、ロボット工学、さらには垂直農業や代替タンパク質などの食料分野での連携を深めていきたい。

日系企業の多くは、シンガポールに東南アジア事業展開のための拠点を設けている。シンガポールは世界各国のビジネス情報の結節点であり、政治的にも安定している。人口560万人を擁するシンガポールはテストマーケットとしても適切な規模であり、日本企業のさらなる進出を期待したい。

【国際協力本部】

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