経団連は12月9日、東京・大手町の経団連会館で「容器包装リサイクル法に関する懇談会」を開催し、環境省環境再生・資源循環局総務課の中尾豊課長から、プラスチックをめぐる国内外の動向や、さらなるプラスチック資源循環に向けた今後の政策等について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ プラスチックをめぐる国内外の動向
近年、欧州を中心として、プラスチック資源循環へ向けた取り組みが加速している。欧州が主導するサーキュラー・エコノミーへの動きが、各国によるプラスチック規制の強化やESG投資(環境・社会・ガバナンス対応を踏まえた投資)の活性化など、企業活動へも影響を与え始めている。
日本政府は、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現を目指すことを宣言した。環境省では、循環経済への移行を重要施策の一つとして位置付け、プラスチック資源循環に向けた取り組みを進めている。
■ さらなるプラスチック資源循環に向けて
わが国においては、年間940万トンのプラスチック廃棄物が排出されており、熱回収を含めてすでに81.6%が有効利用されている。これに加え、中国をはじめとする廃プラスチックの輸入規制を契機に、近年、国内資源循環体制の構築へ向けた各種対策を実施している。
国際的な取り組みとしては、19年に議長国を務めたG20大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、国際的な海洋プラスチックごみ対策の枠組みを主導した。さらにG20に先駆け、「プラスチック資源循環戦略」の策定をはじめ、日本が推進しているプラスチック資源循環に向けたさまざまな取り組みを発信した。
■ プラスチック資源循環戦略の具体化に向けて
国内政策について、環境省は20年5月、経済産業省との合同会議を設置し「プラスチック資源循環戦略」の具体化に向けた検討を開始した。11月には、今後の施策の方向性を示した「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(案)」を取りまとめ、現在、パブリック・コメントを実施している。その他、環境省の「バイオプラスチック導入ロードマップ検討会」や、環境省・経産省合同の「サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会」においても、プラスチック資源循環に向けた検討を深めている。循環経済への移行は世界的な関心も高く、環境省としても、適切な施策を講じていく。
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また、同会合では、容器包装の3R推進にかかる8団体(ガラスびん、PETボトル、紙製容器、プラスチック容器、スチール缶、アルミ缶、飲料用紙容器、段ボール)から成る3R推進団体連絡会から、「容器包装3R推進のための自主行動計画2020・フォローアップ報告(19年度実績)」についても説明を聴いた。
06年度からの累計での資源節減効果が約860万トンに達するなど着実に成果を上げており、引き続き目標の達成に向けて取り組んでいくとの説明があった。
【環境エネルギー本部】