ユーラシア・グループ(イアン・ブレマー社長)は12月9日~11日の日程で、「GZEROサミット2020」(オンライン形式)を開催した(後援=経団連)。同会議では、中西宏明会長がブレマー社長、梶山弘志経済産業大臣、小泉進次郎環境大臣、河野太郎行政改革担当大臣、西村康稔経済再生担当大臣と共に共同議長を務めた。国内外の政府やビジネス関係者など1800名以上が参加した。
ブレマー社長の基調講演の概要は次のとおり。
新型コロナウイルスの感染拡大は、格差拡大、民主主義への信頼低下、国際システムの陳腐化、技術の急速な発達による破壊的イノベーションの進展など、既存のグローバルな課題をさらに深刻にした。グローバルな課題には各国が一致団結して対応しなければならないが、国際的なリーダーが不在の「Gゼロ」の世界では、国際的な妥協・協力・調整が不足している。
一方、テクノロジー分野では、米国と中国の2つの超大国「T2」が勃興している。両国経済は相互に強く依存しているので、テクノロジー冷戦のリスクは限定的である。しばらく「Gゼロ」と「T2」は共存するだろう。
「Gゼロ」から抜け出すためには、主要な民主主義国の協力が必要である。日本は、世界で最も健全な先進的な産業国で、公平かつ平等な社会を維持している。多国間機構の強化や貿易・イノベーションに関するルールづくりにおいて、積極的な役割を果たしてほしい。
気候変動への対応はいまだ十分ではないが、主要国や企業が中核的戦略に位置付けているのはよいニュースである。日本のSociety 5.0の実現に向けた前進は、世界を持続可能な成長に導く手助けになるであろう。
世界が直面する課題には一国で対処できない。全く異なる価値観を持った各国の指導者たちが協力する方法を見いだす必要がある。
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同サミットで中西会長は、「『。新成長戦略』のもと、経団連としてSociety 5.0を通じたサステナブルな資本主義の確立をリードしていく」とメッセージを寄せた。
また、菅義偉内閣総理大臣、小池百合子東京都知事もビデオメッセージで登場した。加えて、(1)新型コロナ後の地政学(2)新型コロナ対策における国際連携(3)ジオテクノロジー(4)サステナビリティ――の4つのテーマによるパネル討議とハイレベル意見交換の場を設置し、活発な議論を行った。
【国際経済本部】