経団連の中西宏明会長は1月12日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
緊急事態宣言が再発出されたことについて中西会長は、「日本経済にとっては望ましくない事態」としつつも、「新型コロナウイルスの感染者数が急増し、医療提供体制も崩壊しかねない段階にあり、やむを得ない」との厳しい現状認識を示した。そのうえで、「経済界として、出勤者数の7割削減など要請されたことをするだけでなく、自らやれることをすべてやっていく」との決意を表明。「会食を控えるなど、国民一人ひとりが守るべきことを守る時だ」と呼びかけた。
また、緊急事態宣言により求められる飲食店の20時以降の営業自粛に関して、「しっかりと補償するという政府の方針を踏まえれば、ある程度強制力を持たせる議論はあってしかるべき」との考えを明らかにし、「医療崩壊を避け、いち早く通常の状態に戻すため、政府と知事は連携して取り組んでほしい」と述べた。
今年の春季労使交渉について、「所得水準の高い国にして消費を増やし、経済を活性化していくことは大事。そのために賃金引き上げのモメンタムの維持は重要」と指摘しつつ、「現下の経済情勢において、賃金引き上げが可能な企業、業界は少ないのではないか」との見通しを示した。
さらに、厳しい寒波などにより電力需給が逼迫していることについて、「日本は火力発電に8割程度依存する状況が続いており、LNG比率も高い水準にある。エネルギーポートフォリオの見直しなどの必要性を認識している」と述べた。
【広報本部】