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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月21日 No.3484 デジタル教育から超教育へ -イノベーション委員会エドテック戦略検討会

経団連は12月21日、イノベーション委員会エドテック戦略検討会(小宮山利恵子座長)をオンラインで開催し、情報経営イノベーション専門職大学(iU)の中村伊知哉学長から、「デジタル教育から超教育へ」をテーマに説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 教育のデジタル化政策実現への歩み

郵政省(現総務省)の官僚としてデジタル分野を15年間担当し、退官後の2001年にマサチューセッツ工科大学で児童学習用の100ドルパソコンの設計プロジェクトを提案した。同大学も米政府もすぐに着手したが、同年に帰国し日本政府に提案したところ、提案は却下され、日本は世界に後れを取った。

その後、NPO法人CANVASを立ち上げ、継続してきたプログラミングのワークショップの盛況ぶりから、生徒からのニーズがあることを実感した。また、OECDの学習到達度調査(PISA)によると、算数の学力と学ぶ意識の調査結果が悪化していたことから、子どもたちをワクワクさせる授業で学力の向上につなげるために、教育でのデジタル技術の活用を推進すべく、デジタル教科書教材協議会(DITT)を10年に設立した。DITTでは毎年のように提言や協議を行い、約8年がかりで学校教育情報化推進法が19年に成立し、端末整備等のGIGAスクール構想の実現に向けた2318億円の補正予算が付いた。

インフラ整備の見込みが立った現在は、AIやIoT、ブロックチェーンを活用した教育にすでに取り組んでいる世界に追いつくため、経団連も連携している超教育協会において、カリキュラムや入試、教科書検定、学習指導要領など教育制度の抜本的な見直しの早期実現に向けて提言活動を行っている。

■ iUの取り組みと今後

スタンフォード大学からGoogleが誕生したのに対し、日本の大学は起業のプラットフォームとして機能していないという問題意識から、20年に情報経営イノベーション専門職大学(iU)を設立した。(1)IT(2)ビジネス(3)英語――の三本柱のカリキュラムで、企業での半年間のインターンシップの機会があり、教員の8割近くが産業界出身であることが特徴である。オンライン授業によってコロナ禍でも授業を継続できている。また、竹芝キャンパスは国家戦略特区の中にあり、大学・研究機関や大手IT企業とも産学連携し、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成にも注力している。

今後は、世界にないパンクな大学を目指して、学生全員が入社し、教授と共にビジネスをつくる会社の設立や在籍中の起業の必須化、さらに(1)東京大学や京都大学など起業に熱心な大学(2)起業家・コンサルタント(3)ベンチャーキャピタル・金融機関――の3つのコミュニティーをマッチングさせた超起業学校の実現などに取り組んでいく。

【産業技術本部】

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