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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月4日 No.3486 「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」について聴く

助川氏

経団連は1月20日、オンライン会合を開催し、国士舘大学の助川成也教授から、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の概要ならびに日本企業のアジア通商戦略にもたらす変化について説明を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ RCEP署名までの経緯と経済的意義

RCEP構想の基は、2005年に中国・韓国が主導するかたちで検討を開始したASEAN+3および06年に日本が提案したASEAN+6の2つの枠組みである。TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉が前進するなかで、11年にASEANがASEANの中心性を担保したRCEP構想を打ち出し、12年に交渉の立ち上げが宣言され、20年11月にインドを除く15カ国により署名された。

RCEPは、人口、GDP、貿易額のそれぞれで世界の3割を占める巨大な地域経済統合である。インドの不参加によって、RCEPがカバーする人口規模は世界の半分から3割へと縮小したが、GDPや貿易額のカバー率への影響は限定的である。

■ 原産地規則の統一による利便性の向上に期待

RCEP全体の関税撤廃率は91%とCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)を下回るが、例えば、日本からの輸出品目では、対インドネシアの鉄鋼製品、対タイの自動車製品の一部等、新たに関税削減が約束された品目もある。採用する関税率は、国によって個別譲許と共通譲許の2つがあり、税率差の有無や関税撤廃期間(ステージング)について確認が必要となる。

他方、RCEPではすべての締約国で同じ原産地規則が適用され、企業の負荷は大きく軽減される。原産地証明も、将来的には輸出者・生産者による(完全な)自己申告制度が導入される予定である。RCEP締結国内に拠点を置く日系企業のRCEP域内での輸出比率は81.6%、輸入比率が88.9%と高く、利便性は格段に向上する。また、第三国輸送についても当該経由国の税関当局の監督下にあるなど一定条件を満たしていれば、締約の第三国内に戦略的蔵置が可能な物流拠点の設置が可能となっている。

■ 電子商取引の合意の意義と今後の課題

サービスの自由化は、ごく一部の進展にとどまるが、ネガティブリスト方式の採用により、見える化が進むことになる。電子商取引について、ソースコードの開示は交渉継続となったものの、中国を含むかたちで、データフリーフローを妨げてはならないことや、データ・ローカライゼーションの要求禁止等について合意に至ったことの意義は非常に大きい。

RCEP首脳会議の共同声明では、閣僚に対して、RCEPを地域の貿易・経済分野の対話・協力のプラットフォームとして発展させ、定期的に首脳に報告することを要請しており、協定には、RCEP事務局の設置についても明記されている。詳細は未定であるものの、産業界にとっては、地域全体の貿易等についての意見をインプットする場になる可能性がある。アジアをはじめ域内国における貿易・投資の円滑化のために、RCEPをプラットフォームとしていかに有効活用していくかが今後重要となる。

【国際協力本部】

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