1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2021年2月11日 No.3487
  5. 厚労省の濵谷保険局長と土生老健局長が講演

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月11日 No.3487 厚労省の濵谷保険局長と土生老健局長が講演 -社会保障委員会

経団連(中西宏明会長)は1月27日、社会保障委員会(小堀秀毅委員長、鈴木伸弥委員長、西澤敬二委員長)をオンラインで開催し、厚生労働省の濵谷浩樹保険局長ならびに土生栄二老健局長から、それぞれ「医療保険制度改革の動向」「介護制度改革に関する取り組み」に関して説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 医療保険制度改革の動向(濵谷保険局長)

濵谷保険局長

昨年末に、全世代型社会保障の実現に向けた医療保険制度改革の方向性が取りまとめられた。改革の中心は、75歳以上の後期高齢者の窓口負担の見直しであった。2022年度以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり始めることで、現役世代が負担する後期高齢者支援金の急増が見込まれることが背景。さまざまな議論があったなか、現役世代の負担上昇の抑制と高齢者の生活に与える影響を総合的に勘案し、年金収入で200万円以上の一定所得以上の後期高齢者の窓口負担割合を22年度後半から、1割から2割へと見直すこととした。これにより給付費ベースで1880億円の削減が見込まれる。

このほか、患者のニーズに応じた外来機能への再編推進と保険財政の改善の観点から、外来受診時の定額負担についても見直しを行う。傷病手当金や任意継続被保険者制度、育児休業中の保険料免除要件についての見直しも行うこととしている。少子化対策の一環として、22年度からの不妊治療の保険適用も実施する。

長期的には高齢化の鈍化により医療費の伸びは鈍化していく。こうしたなか、給付の効率化の視点は当然必要だが、社会保障に関する負担のあり方として、自助、互助、共助、公助の役割分担について、あらためて合意形成を図っていくことが求められるのではないかと考えている。

■ 介護制度改革に関する取り組み(土生老健局長)

土生老健局長

介護制度をめぐっては、75歳以上の高齢者の増加など人口構造の変化、単身世帯の増加などの世帯構造の変化、認知症の人の増加などの課題への対応が求められている。支え手である生産年齢人口の急減を見据え、介護サービスの生産性向上も課題となっている。

こうした状況も踏まえ25年までの地域包括ケアシステムの構築を目指し、累次の制度改正を行っている。最近の法改正では「介護予防の強化」「保険者機能の強化」「データの利活用の基盤整備」などの視点から対応を行った。

21年度介護報酬改定の改定率は前回改定を上回る0.7%となった。人材確保の必要性、経営状況に加え、コロナ禍という要素も大きいと考えている。感染症・災害への対応力強化に加えて、認知症や看取り、自立支援・重度化防止などへの対応に向け、加算の創設など報酬や規制の見直しを行っている。

今後、介護職員の人材確保・定着に向けた取り組みも重要。処遇改善も含めたさまざまな施策を総合的に推進している。現下の雇用環境を踏まえ他産業からの参入促進に向けたインセンティブなども実施。テクノロジーを活用した際の人員配置の緩和を含め、介護現場の革新にも取り組んでいる。

制度をめぐる現状を踏まえると、次期の改革に向け、給付と負担の見直しについてもしっかりと議論していく必要もあると思っている。

【経済政策本部】

「2021年2月11日 No.3487」一覧はこちら