1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2021年2月11日 No.3487
  5. 「スタートアップとの事業連携に関する指針」(案)への意見を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月11日 No.3487 「スタートアップとの事業連携に関する指針」(案)への意見を公表

経団連は1月25日、公正取引委員会・経済産業省「スタートアップとの事業連携に関する指針」(案)のパブリック・コメントに意見を提出のうえ公表した。同指針(案)の背景・経緯および提出した意見の概要は次のとおり。

■ 背景・経緯

近年、オープンイノベーションの担い手としてスタートアップが注目されており、その取引環境の整備が求められている。そのような状況を踏まえ、2020年4月3日の未来投資会議において、オープンイノベーションの促進および公正かつ自由な競争環境の確保を目指す方針が掲げられ、企業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップが大企業から一方的な契約上の取り決めを求められたりしないよう、問題事例とその具体的改善の方向や独占禁止法の考え方を整理したガイドラインを策定するとされた。

その後、7月17日閣議決定の「成長戦略実行計画」において、同ガイドラインについて公正取引委員会と経産省の連名で年内を目途に案を作成し、意見公募手続きを開始するとされたことを受け、12月23日、「スタートアップとの事業連携に関する指針」(案)が公表され、パブリック・コメントに付された。

経団連提出意見の概要

大企業とスタートアップの連携により、スタートアップの競争力を維持・強化し、ひいてはわが国の競争力をさらに向上させることが重要である。

スタートアップが大企業などから一方的な契約上の取り決めを求められないよう、問題事例とその具体的改善の方向および独占禁止法上の考え方を整理したガイドラインを策定することは時宜にかなっている。

また、一般的に、スタートアップは大企業に比して法務や知財に関するリテラシーに乏しいことは事実であり、その点を考慮し、スタートアップとの契約の際の留意点等が示されていることは有意義である。

ただし、事業者間の交渉・契約においては、さまざまな考慮要素や環境、背景があることから、このような個別事情にも十分配慮がなされるべきであり、取引の自由を必要以上に阻害しないようにすべきである。

例えば、同指針(案)には、共同研究で生み出される知的財産権はスタートアップに帰属されることが重要であると読める記載や、AI分野において、複数の会社からデータの提供を受けて生成したカスタマイズモデルを利用したサービスを複数の事業会社に提供するというビジネスモデルを採用する場合は、成果物の利用条件を独占的な内容とすることは非合理的であるとする記載、あるいは、「特許保証」(対象物が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証すること)を行うこと自体が問題であるといった記載などが存在する。しかし、データやノウハウ等の保護の必要性や、連携事業者側がどのような費用をどの程度負担しているか、スタートアップと連携事業者のどちらに技術的知見があるか、といった個別の事情によって、契約内容の妥当性は変わってくるため、断定的な記載は控えるべきである。

なお、同指針(案)では、スタートアップの定義や、どのような場合に連携事業者が優越的地位にあるとされるのか等の記載がないことから、事業者の予測可能性確保の観点から、これらの記載も行うべきである。

【経済基盤本部】

「2021年2月11日 No.3487」一覧はこちら