経団連は1月29日、サブサハラ地域委員会企画部会(河村肇部会長)をオンラインで開催し、経済産業省通商政策局の小池穣治経済連携交渉官から、投資関連協定の概要ならびに今後の重点地域や取り組み等について説明を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。
■ 投資関連協定の役割
投資関連協定とは、企業が円滑に海外事業を行えるように、投資の自由化・促進・保護を目的として、国家間で合意した国際協定である。適用範囲を投資後に限定する「保護協定」と参入段階も対象とする「自由化協定」がある。
投資協定の主な内容として、内国民待遇、最恵国待遇、公正衡平待遇、契約などの約束遵守、投資活動に対する特定措置の履行要求の禁止、投資家と国家の国際仲裁手続き(ISDS手続き)などがある。
■ 日本政府の取り組み
2016年に投資環境整備に向けたアクションプランを策定し、20年までに、100の国・地域を対象に署名・発効を目指してきた。
21年1月時点の投資関連協定の交渉状況は、発効済み・署名済みで78の国・地域(同日、日ジョージア投資協定が署名され79となった)、交渉中を含めると94の国・地域をカバーしている。
引き続き、産業界の締結要望を踏まえて、高いレベルの質を確保しつつ、スピード感も重視した交渉を行っていく。
■ 今後の重点地域と協定の実効性向上・普及の取り組み
アフリカは、新たな投資関連協定の締結に向けた重点地域の一つである。産業界からは、アフリカ諸国との締結要望が寄せられている。その背景として、市場としての高い将来性、ビジネス上の問題の解決の必要性、投資関連協定によりすでに保護されている第三国の投資家に劣後する事態の解消などがあると理解している。特に要望の強い南アフリカは、10年代初めから投資協定に消極的であるが、ラマポーザ大統領が外資誘致に積極的である点には注目している。
また、今後は、投資協定の実効性を高めるため、行政指導・行政手続きの透明化に資する規定の導入や、政府間の合同委員会、ビジネス環境整備委員会等の既存制度の有効活用等も考えられる。
投資協定が事業活動におけるトラブル解決に役立つツールであることを社内で周知し、投資協定を戦略的に活用していく体制を社内でつくっていくことも一案と考える。
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意見交換では、出席者が、(1)アフリカ諸国では貿易主体のビジネスも多く、関税引き下げ等のため、投資協定に加え、FTA/EPAの締結にも期待(2)投資リスク低減のため、投資協定に紛争解決メカニズムが盛り込まれることが重要(3)課税や外資規制などさまざまな課題の解決が必要――等の意見を寄せた。
【国際協力本部】