経団連(中西宏明会長)は3月16日、提言「Society 5.0時代の学びⅡ~EdTechを通じた自律的な学びへ」を公表した。コロナ禍において、GIGAスクール構想の前倒しにより整備された小中学生一人一台端末を用いて実現すべき、Society 5.0時代の学びの姿と学びのDX(デジタルトランスフォーメーション)のロードマップを示し、各主体の役割と必要な環境整備等を提言している。EdTechの先進的な取り組み事例18件も掲載した。
■ Society 5.0時代の学びの姿
Society 5.0時代には、(1)パーソナライズ(2)シームレス(3)ダイバーシティ(4)クリエイティブ――の4つのキーワード(図表参照)を特徴とした、自ら関心を広げ自発的に学び、多様な方向へ成長し続ける自律的な学びが求められる。
この学びの環境下で、協働力や好奇心、問題発見・解決能力等のSociety 5.0で必要とされる能力や資質を育んでいく。そのために、EdTechを活用し、オフラインとオンラインの両方の良さを学びに取り入れていく。
■ 学びのDXに向けて各主体が果たすべき役割
地域や学校によりばらつきのある学びのDXを、国全体として底上げを図っていくため、必要な取り組みを段階的に示したロードマップを作成したうえで、企業・産業界、教員・学校、国・地方公共団体、地域・家庭の関係主体に求められる役割の発揮が必要となる。企業・産業界にはハード、ソフト、人材面でのリソースの提供、学びの変革に合わせた企業の人材戦略の見直しやリカレント教育に取り組むことが求められる。
■ EdTech推進に向けた環境整備
現在、GIGAスクール構想の前倒しにより2021年3月末を目途に端末等の整備が進められている。しかし、ハード・ソフト・人材・データ活用などの各面において解決すべき課題が山積している。学びのDXのステップを着実に踏むためにも、学習データの連携・活用に向けた環境整備と学習者および教員のための学習インフラ整備を早急に進める必要がある。
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今後、産業界はEdTechを通じた自律的な学びを実現すべく、教育現場と同じ目線に立って、社会や企業の学びの環境を早急に整備していく。その取り組みの一つとして、経団連は企業や学校関係者と連携し、EdTech学習プログラムのプロトタイプの形成を検討していく。また、各企業の教育分野への取り組みや各学校の先進的なEdTech活用事例の発信にも努め、企業と学校の連携を支援する役割も果たしていく。
【産業技術本部】