経団連は3月9日に、会社法施行規則・会社計算規則等の改正を踏まえた「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(以下、ひな型)の改訂版を公表した。
第2回目は、会社計算規則の改正を踏まえたひな型改訂のうち、「収益認識の開示」および「会計上の見積りの開示」(それぞれ「計算書類」「連結計算書類」の注記事項に追加)について解説する。
■ 収益認識の開示
(1)重要な会計方針にかかる事項に関する注記
企業会計基準を適用する会社は、「収益及び費用の計上基準」として、① 当該会社の主要な事業における顧客との契約に基づく主な義務の内容、② ①に規定する義務にかかる収益を認識する通常の時点、③ ①および②のほか、当該会社が重要な会計方針に含まれると判断したもの――を記載する。
ひな型では、①②を「記載例」に盛り込み、③は「記載上の注意」で例を示した。①②の「記載例」では、商品または製品の販売を事業とする企業を例に挙げ、「顧客との販売契約に基づいて商品または製品を引き渡す義務」を負っており、「引渡時点」で収益を認識している旨を示した。
(2)収益認識に関する注記
企業会計基準を適用する会社は、重要性の乏しいものを除き、① 当該事業年度に認識した収益を、収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づいて区分をした場合における当該区分ごとの収益の額その他の事項、② 収益を理解するための基礎となる情報、③ 当該事業年度および翌事業年度以降の収益の金額を理解するための情報――を、各社の実情に応じて、必要な記載をする。
ひな型では、①を「記載例」に盛り込み、②は前述の「重要な会計方針にかかる事項に関する注記」の「収益及び費用の計上基準」にすでに記載していることから省略し、③は「記載上の注意」で例を示した。①の「記載例」では、展開する事業、提供する製品・サービス、事業ごとの収益額を示した。
■ 会計上の見積りの開示
「会計上の見積りに関する注記」については、① 会計上の見積りにより当該事業年度にかかる計算書類・連結計算書類にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る計算書類・連結計算書類に重要な影響を及ぼす可能性があるもの、② 当該事業年度にかかる計算書類・連結計算書類の①の項目に計上した額、③ ②のほか、①に掲げる項目にかかる会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報――を、各社の実情に応じて、必要な記載をする。
ひな型では、①②を「記載例」に盛り込み、③については「記載上の注意」で例を示した。①②の「記載例」では、翌連結会計年度に重要な影響を与える見積り項目として「繰延税金資産」の例を挙げ、その金額を示した。
【経済基盤本部】