経団連は3月16日、業種や地域、企業規模を超えて、サプライチェーンにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の意義を共有し、デジタル化推進の機運醸成を図るべく、日本商工会議所の後援のもと「サプライチェーンDXウェビナー」をオンラインで開催した。経団連会員、各地の商工会議所会員あわせて約370名が参加した。
開会あいさつで立石文雄サプライチェーン委員長は、企業間の受発注・決済のデジタル化や、製造現場データの活用による価値創造を実現するには、大企業と中堅・中小企業が連携しながら、具体的な取り組みを進めていくことが不可欠と指摘。そのうえで、同ウェビナーを契機に、企業同士の連携によるSociety 5.0実現に向けた取り組みが加速することへの期待を述べた。
■ 政府による取り組み
セッション1では、村上敬亮中小企業庁経営支援部長から、民間による中小企業支援ビジネスを盛り上げるため、中小企業庁が有する情報の民間開放を推進するとの説明があった。また、加藤博之内閣官房IT総合戦略室参事官補佐は、2023年10月のインボイス制度導入を見据えた電子インボイス標準化の取り組みを紹介した。
■ 業務プロセスのデジタル化
セッション2では、長田和徳日本商工会議所IoT・AI・ロボット活用専門委員会委員が、「身の丈IoT」の一例として、日進工業が進める工場のスマート化について、松島桂樹クラウドサービス推進機構理事長から、受発注から決済までデジタルでつないで自動化することの重要性とその取り組み事例について、それぞれ説明があった。森井昌克神戸大学大学院工学研究科教授は、中小企業のセキュリティ意識の低さを指摘し、各社におけるサイバーセキュリティ対策の見直しの重要性を訴えた。
■ データ活用による新たな価値創出
セッション3では、藤野直明野村総合研究所産業ITイノベーション事業本部主席研究員が、中小製造業におけるITツール活用の重要性を強調するとともに、そのための人材育成のあり方について説明。続いて、関行秀日本電気スマートインダストリー本部事業主幹が、企業間でのデータ共有による品質管理など、スマートファクトリー実現に向けた取り組み事例について紹介した。最後に、松川弘明慶應義塾大学理工学部教授から、情報連携によるサプライチェーン途絶リスク対策の可能性について説明があった。
◇◇◇
閉会にあたり山内雅喜サプライチェーン委員長は、企業の規模や業種、地域を超えた企業間の連携がなければ、サプライチェーンのDXや最適化は進まないことから、日本の成長に向けて各社と共に取り組んでいきたいと述べた。
【産業政策本部】