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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年4月15日 No.3496 イラン核合意や次期イラン大統領選挙の動向

齊藤大使

経団連は3月22日、齊藤貢前駐イラン特命全権大使との懇談会をオンラインで開催した。齊藤大使から、イラン核合意や米国による経済制裁をめぐる国際情勢に関して、米国やイランの立場、今年6月のイラン大統領選挙の動向などの観点から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 米国バイデン新政権の発足による新たな展開

2018年、米国はイラン核合意から離脱、経済制裁を再開した。21年のバイデン新政権の発足を契機に、イランをめぐる情勢は新たな段階を迎えている。バイデン政権は「イランが核合意を遵守すれば、経済制裁を解除する」と表明したのに対し、イランは「先に米国が核合意から離脱したのであるから、経済制裁の解除が先である」と反発している。

双方が対立している背景として、イラン側には、経済制裁に新型コロナウイルスが追い打ちをかけた経済の困窮があるが、一方、米国側には、この機会に、イランの核開発に加えて、弾道ミサイル開発や地域情勢への介入も制限したい思惑があるのではないか。

今年6月のイラン大統領選挙が近づくなか、政権奪還をねらうイランの保守強硬派の妨害もあり、穏健派のローハニ大統領のもとでの交渉妥結は、時間的に厳しくなりつつある。

■ 6月のイラン大統領選挙が与える影響

次期イラン大統領の本命候補者は定まっていないものの、保守強硬派の勝利はほぼ確実であろう。保守強硬派の新大統領は、国際社会との交渉による解決よりも、挑発によって緊張を高め、譲歩を迫る戦略を志向する可能性がある。また、制裁下、国外との交流がなくてもイラン経済は発展できるとする「抵抗経済論」が強まり、国民生活がさらに困窮するおそれもある。

他方、イラン・イスラム革命から40年が経過し、経済の疲弊、新型コロナ対応の遅れなども加わり、革命体制への国民の支持は、世代や地域の差はあれ徐々に失われつつある。イランは体制維持のために、長期的には、より強権的になっていくことが懸念される。

■ イランにおける日本企業の活動を支援、中東情勢を注視

イランに進出している日本企業は、厳しい経済環境下、債権回収の停滞、不利な為替レートの適用、緊急時の国外退避手段の確保など、さまざまな課題に直面している。在イラン日本大使館は、引き続き、課題の解決に向けてイラン側へ働きかけるなど、日本企業を支援していく。

中東地域における最近のアラブ諸国とイスラエルの関係改善の動きは一段落すると思われる。また、イランと中国やロシアとの関係は、当事国の思惑や歴史的な経緯もあり、見かけより簡単には進まないだろう。米国をはじめとする各国の政策やイラン大統領選の結果などの影響によって転換期を迎える中東地域の情勢を注視していく必要がある。

【国際協力本部】

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