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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年4月15日 No.3496 解説 株式会社の各種書類に関する経団連ひな型改訂〈5〉 -親会社との重要な契約等の概要および業績連動報酬等に関する開示

経団連は3月9日に、会社法施行規則・会社計算規則等の改正を踏まえた「会社法施行規則および会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(以下、ひな型)の改訂版を公表した。最終回は、事業報告での「親会社との重要な契約等の概要」および「業績連動報酬等」の開示に関して解説する。

■ 親会社との重要な契約等の概要

改正会社法施行規則120条1項7号に対応するものとして、「親会社との間に事業報告作成会社の重要な財務および事業の方針に関する契約等が存在する場合には、その内容の概要」の記載が必要となる。

「契約等」とは、事業報告作成会社とその親会社との間でなされた合意をいい、契約という形態に限られない。また、重要な財務および事業の方針の決定を支配する内容(改正会社法施行規則3条3項2号ハ)のものに限らず、当該方針に影響を及ぼす重要な契約等について記載する必要がある。

親子会社間で締結される経営管理契約等においてグループに関するさまざまな事項が合意されていたとしても、事業報告に記載する必要があるのは、「重要な財務および事業の方針に関する契約等」に該当する合意の内容の概要のみである。

また、重要な財務および事業の方針に及ぼす影響を踏まえ、少数株主保護のための措置を講ずることを親会社との間で合意している場合には、その内容の概要等を記載することが考えられる。

なお、事業報告作成会社が関知していない親会社における方針等や、いわゆる株主間契約(事業報告作成会社が当事者となっていないもの)の内容の概要を記載する必要はない。

■ 業績連動報酬等に関する事項

改正会社法施行規則121条5号の2に対応する事項として、報酬等に業績連動報酬等が含まれている場合には、「イ 当該業績連動報酬等の額又は数の算定の基礎として選定した業績指標の内容および当該業績指標を選定した理由」「ロ 当該業績連動報酬等の額又は数の算定方法」「ハ 当該業績連動報酬等の額又は数の算定に用いたイの業績指標に関する実績」を記載する必要がある。

イは、当該業績連動報酬等が会社役員に適切なインセンティブを付与するものであるかを判断するために必要な記載が求められるが、当該業績連動報酬等の算定の基礎として選定されたすべての業績指標を網羅的に記載することが必ずしも求められるものではない。

ロは、業績連動報酬等と業績指標との関連性等、業績連動報酬等の算定に関する考え方を株主が理解することができる程度の記載が求められるが、計算式を記載することや、株主が開示された業績指標に関する実績等から業績連動報酬等の具体的な額または数を導くことができるような記載が必ずしも求められるものではない。

ハは、具体的な数値を記載することも考えられるが、必ずしも数値を記載することを求めるものではなく、有価証券報告書において「当該業績連動報酬に係る指標の『目標および実績』」の記載が求められる(企業内容等の開示に関する内閣府令第二号様式記載上の注意〈57〉c)のと同様、実績について記載することでも足りる。

【経済基盤本部】

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