経団連は5月20日、労働法規委員会労働安全衛生部会(今村尚近部会長)をオンラインで開催し、厚生労働省労働基準局の石垣健彦総務課長から「過労死等防止対策大綱の見直しに向けた検討状況」について説明を聴いた。概要は次のとおり。
2014年に議員立法により成立した「過労死等防止対策推進法」は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を政府が策定すると規定しており、15年7月に最初の大綱が閣議決定された。大綱は、社会経済情勢の変化等を踏まえ、概ね3年に一度見直すこととされており、今年が二度目の見直し時期にあたる。
現在、当事者(遺族)・専門家・労使で構成する「過労死等防止対策推進協議会」で見直し案を示し、検討を進めている。5月25日の協議会では、基本的な枠組みを維持しつつ、新型コロナウイルスによる働き方の変化等の影響を踏まえた対策や課題を盛り込むことについて議論する予定である。
見直し案のポイントは、次の3点である。
1点目は、官公庁取引における商慣行の見直しである。労使双方から、行政機関との取引に起因する民間の長時間労働の是正に関する強い意見があった。このため、行政機関と民間の取引であるG to Bについても記載している。
2点目は、経営幹部等の取り組みに関する部分である。労働時間管理の制度や運用を含む人事・労務の点検を行うことや、勤務間インターバル制度の導入等を実情に応じて進めること、過労死等が発生した場合に経営幹部や現場の長が率先して再発防止の徹底に努めることなどを追記している。
3点目は、数値目標の見直しである。週の労働時間が60時間以上の雇用者の割合を5%以下にするという目標について、長時間労働が懸念される正社員やフルタイム労働者(週の労働時間が40時間以上の雇用者)に焦点を当てて見直す。また、勤務間インターバル制度について、制度を知らない企業の割合を20%未満から5%未満に、また、制度を導入している企業の割合を10%以上から15%以上としている。
【労働法制本部】