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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年6月24日 No.3504 ロングボトム駐日英国大使と懇談 -2030年を見据えた英国の外交方針と日英連携のあり方/ヨーロッパ地域委員会

ロングボトム大使

経団連のヨーロッパ地域委員会(越智仁委員長、佐藤義雄委員長)は5月26日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、3月に新たに着任したジュリア・ロングボトム駐日英国大使から、2030年を見据えた英国の外交方針および日英関係のあり方について説明を聴いた。概要は次のとおり。

今年3月に英国が公表した「統合レビュー」は、今後10年間の安全保障および外交政策が包括的にまとめられており、より強靱かつ安全で繁栄した時代の形成に向け、同盟国と協力し取り組んでいく方針が示されている。特に、重要課題として挙げた5つの分野―(1)感染症や気候変動などグローバル課題の解決(2)サイバーなど先端分野を含む科学技術への投資(3)民主主義および人権の擁護(4)貿易・資本・情報の自由な流通の確保(5)安全保障・抑止に関する、より強靱なアプローチの採用――について、日本を含む同志国との連携を拡大していく。

気候変動対策および生物多様性の保全について、英国は、今年11月に開催されるCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)の議長国として、途上国を包摂しながら2050カーボンニュートラル達成に向けた国際的な取り組みの加速を使命としている。新型コロナウイルスからの復興ならびに安全保障の確保のため、途上国を包摂しながらクリーン・トランジションを推進していくことが不可欠であり、日本の産業界からのさらなる貢献を期待する。

また、英国はインド太平洋地域における関与を強化する方針を同レビューに明記した。日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想と共通する点も多い。日本を含む価値観を共有するパートナー国との戦略的関係を深化させ、同地域における開かれた社会を支持し、安全保障および航行の自由を確保するため、長期的かつ包括的なコミットメントを約束する。インド太平洋地域への関与の一環として、英国は、ASEAN対話パートナーおよびCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加入を申請しており、不公正な貿易慣行に対抗し、ルールに基づいた、自由で公正な貿易の拡大に貢献すべく、パートナー国と協力していく。

他方、中国とは、英国の価値観を守りつつ有益な貿易投資関係を追求し、気候変動等のグローバル課題について協働を模索する。

あわせて、サイバーや宇宙空間における技術開発に伴う新たな脅威に対処するため、将来の先端分野についても、民主主義的価値観が反映されたかたちで、開かれた信頼ある市場を形成していくことが必要である。特に、デジタル保護主義に対抗することが不可欠であり、国際協力の推進に向け尽力する。

【国際経済本部】

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