経団連のイノベーション委員会(畑中好彦委員長、田中孝司委員長)は6月14日、オンラインで会合を開催し、日本医師会の今村聡副会長、医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)の宇賀神敦専務理事から、AIホスピタル社会実装と普及に向けた取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 内閣府第2期SIP「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」について
「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」では、超高齢化社会における医療の質の確保・医療費増加の抑制・医療従事者の負担軽減につながるシステムの社会実装を目指している。AI技術を活用した診断補助やコミュニケーション支援等の研究開発を実施している。
■ 医療AIプラットフォーム構築に向けた体制づくり
質の高いAIサービスの普及のためには、プラットフォームの構築が重要であり、同プロジェクトの研究テーマのひとつとなっている。プラットフォーム構築の際に直面する個々の企業だけでは対応し得ない、インターフェース共通化や医療データ活用などの課題に向き合い、業界共通の基盤技術の研究開発を行うとともに、その成果を積極的に公開していく組織として、日立製作所、日本ユニシスなど5社は、2021年4月1日にHAIP(Healthcare AI Platform Collaborative Innovation Partnership)を設立した。また、円滑なAIサービスの提供には、プラットフォーム事業者に対するガバナンス機能を備えた組織が必要であり、日本医師会のなかにAIホスピタル推進センターを設立した。
同センターは、医療AIプラットフォーム事業者の認定や、医療AIサービス事業者ならびに利用者の登録などを行う。加えて、日本医師会の関連団体は、次世代医療基盤法に基づく数少ない認定事業者のひとつであるため、医療機関が得た医療データや地域自治体が有する健診情報等を匿名加工し活用することによって、より質の高い医療AIの開発につなげることも可能である。
■ 医療界と産業界の連携強化
AIホスピタルの社会実装と普及の実現には、業界共通のプラットフォームが必要である。日本の医療提供体制の高度化ならびに産業の活性化、他国への医療システムの提供も視野に入れて、医療界と産業界のより一層の連携強化に取り組んでいく。
【産業技術本部】