経団連は7月6日、先の通常国会で成立した「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」(デジプラ法)ならびに「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」(特商法等改正法)に関する説明会を開催した。消費者庁の吉田恭子 消費者政策課長、槇本英之 同課長補佐、奥山剛 取引対策課長、笹路健 同前課長(経産省参事官)から、両法のポイントについて解説を聴くとともに、今後の施行に向けた課題等について意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ デジプラ法
消費者庁創設から間もなく12年となるが、デジプラ法は、消費者庁が政府提出法案として単独で提出した初めての実体法である。特商法等改正法とあわせて、後世からデジタル化に対応した消費者行政の第一歩と評価されるのではないか。
同法は、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売取引の適正化、紛争解決の促進のため、(1)プラットフォーム事業者による自主的取り組みの促進(2)内閣総理大臣による利用停止等の要請(3)販売業者等の開示請求(4)官民協議会の設置――の4つを柱としている。これにより、オンラインモール等で危険商品等が出品され、販売業者の特定が不能な時に、プラットフォーム事業者に商品の削除等を要請できるようになる。今後、悪質な出品者等への対応について協議したり、施策に対する意見を述べたりする官民協議会の設立に向け、今年秋ごろには準備会合が始まり、デジタルの消費者取引市場の健全化が進められる。
■ 特商法等改正法
特商法等改正法は、(1)通販の「詐欺的定期購入商法」対策、送り付け商法対策、消費者利益増進のための規定整備を柱とする特定商取引法の改正(2)販売預託の禁止、対象範囲の拡大、行政処分の強化等を柱とする預託法の改正(3)特定適格消費者団体に、特定商取引法・預託法の行政処分に関して作成した書類の提供を可能とする消費者裁判手続特例法の改正――から成る。
同改正法により、インターネット通販で「お試し」と書きながら、誤認して定期購入させる表示等を直罰化した。マスクの送り付け商法などが問題となっていた送り付け商法対策では、売買契約に基づかない商品が送り付けられた場合、消費者は直ちに当該商品を処分できることとなった(改正前は14日間保管必要)。豊田商事事件、安愚楽牧場事件、ジャパンライフ事件などで大規模消費者被害を生じた販売預託は原則禁止となる。
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説明終了後、デジプラ法に関しては、指針や官民協議会での協議内容、今回対象とならなかったSNSを通じた取引等への影響などについて、特商法等改正法に関しては、カウントダウン商法を制限するための画面表示にかかる規制が、一般的な事業者の画面構成に改修を迫らないものとするための解釈の明確化などについて、活発な質疑が行われた。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】