経団連は7月27日、電子帳簿保存法(電帳法)に関する通達・QA説明会を開催した。経団連会員企業・団体から約1000名が参加し、電帳法の令和3(2021)年度改正内容および同月16日に公表された同法の通達および問答(通達・QA)について、財務省と国税庁から説明を聴いた。概要は次のとおり。
国税関係の帳簿書類を電子的に保存する際の手続き等を定めた電帳法は、令和3年度の税制改正において、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、抜本的な改正がなされ、令和4年1月1日に施行される。
具体的には、事前の承認制度の廃止、電子帳簿のシステム要件の大幅見直し、スキャナ保存制度における社内相互牽制・定期検査の不要化やタイムスタンプ付与までの日数期限の緩和等、制度創設以来の抜本的な見直しとなった。なかでも、電子取引にかかるデータ保存制度の改正内容および取り扱いについて注目が集まった。
改正前は、保存する取引データの「検索要件」として、(1)取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定(2)日付または金額にかかる記録項目については、その範囲を指定して条件を設定(3)2以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定――することが求められた。改正後は、(1)の検索要件について、「日付、金額、取引先」に限定し、保存義務者が、税務職員の質問検査権行使に基づく「ダウンロードの求め」に応じる場合には、(2)(3)の検索要件が不要となる。一方、他者から受領した電磁的記録との同一性を確保する観点から、出力した書面による保存措置が廃止され、受領した電磁的記録そのものを保存することが求められる(新電帳法7条)。
改正後の検索要件を満たし、記録事項の検索をすることができる機能を確保するためには、必ずしも各社に大規模なシステム対応が求められるものではなく、その電磁的記録のファイル名に、規則性を持ったかたちで記録項目を入力(例えば、取引年月日その他の日付〈西暦〉、取引金額、取引先の順で統一)することにより、フォルダ内の検索機能を使用して検索できる状態にしておく方法や、エクセル等による検索簿を備え付けておくといった方法も許容される。
なお、上記の電帳法上の電子取引に関する規定については所得税および法人税にかかるものを対象としており、消費税にかかる電子取引の取引情報の保存については、その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを考慮して、引き続きその電磁的記録を書面に出力することにより保存することも認められる。
その他、記録事項の訂正履歴を確認することができる等の要件を満たした電子帳簿(優良な電子帳簿)については、加算税の軽減措置が設けられるが、すでに承認を受けている電子帳簿でも、軽減措置の適用を受けるためには、所轄税務署長への届出書の提出があらためて必要となる。
また、スキャナ保存制度について、すでに承認を受けており、改正後の簡素化された要件によって運用したい場合は、以前の承認を取りやめる一定の手続きが必要となる。
【経済基盤本部】