経団連(十倉雅和会長)は9月6日、「Withコロナにおける社会経済活動の活性化に向けた提言」を公表した。
わが国は現在、新型コロナウイルスのデルタ株による全国的な感染拡大に直面している。経済界では、休暇取得やテレワークによる接触機会の削減、ワクチンの職域接種の推進等を引き続き行うとともに、日本医師会からの協力要請を踏まえ、医療施設として企業保有の施設を提供するなど、感染拡大防止に全力を挙げて取り組んでいる。
他方、これらの取り組みを通じ医療体制の逼迫が解消できたとしても、新型コロナの感染リスクをゼロにすることは難しく、今後も一定程度の感染が続くことは避けられない。
まずは足元の感染拡大防止の取り組みを着実に進めながら、重症化率・死亡率が十分低減した際には、あらためてこれまでの経験・教訓を活かし、社会経済活動の再開・活性化が可能となるよう、今から必要な対策の検討・準備を始めることが重要である。こうした観点から、必要となる方策を提言した。
1.早期治療を可能とする医療提供体制の整備
- (1)足元の医療体制の逼迫解消に向け、医療機関等から、より協力を得やすい環境を整備すべきである。
- (2)重症化率・死亡率が十分低減した際には、一般の病院・クリニックでの診療を可能とし、保健所を介した受診・入院調整等は不要とすることを検討すべきである。
2.積極的な検査の実施
抗原定性検査について、有症状者に限らず広く活用を認めるべきである。より容易に検査にアクセスできるよう、厚生労働省認可の検査キットを薬局等で販売し、被験者自身で検体採取や測定を行えるようにすべきである。
3.帰国・入国後隔離措置の適正化
- (1)多くの国において、隔離期間を10日以内としていることと足並みをそろえ、現在14日間の隔離期間を最長でも10日間に短縮すべきである。
- (2)ワクチンの接種が完了している者に対する隔離期間の免除を早急に検討・開始すべきである。渡航先の流行状況・リスクに応じて一定の隔離期間が必要な場合であっても、一定の行動を可能とすべきである。
- (3)日本政府発行のものと同等のワクチン接種証明書を有する外国人について、原則、査証を発給し、入国を認めるべきである。
- (4)ワクチン接種証明書は、国内経済活動においても活用すべきである。
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同日、十倉会長は片野坂真哉副会長、安永竜夫副会長とともに首相官邸を訪れ、菅義偉内閣総理大臣に同提言を建議した。
経団連側からは、ビジネスの現場での実態を踏まえて、抗原簡易キットの具体的な活用や国際的な人の往来再開への期待などを説明した。これに対し、菅首相は、「関係省庁に号令をかけ、さまざまな規制緩和を行い、ワクチン接種を強力に進めてきた。効果は出てきている」「提言内容の実現に向けて、意見をしっかり受け止め、推進していきたい」と述べた。十倉会長は、「ワクチン接種は菅首相のリーダーシップによって加速されてきた。もう少しで先が見通せるところまで来ている」と述べ、引き続き感染拡大防止と社会経済活動の正常化に取り組んでいくことを確認した。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】