経団連は8月5日、日タイ貿易経済委員会(鈴木善久委員長、大八木成男委員長)をオンラインで開催し、EEC(東部経済回廊)のカニット・サンスバン事務局長らから、EEC開発の現状と展望等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ コロナ禍においても順調に進む対EEC投資と連結性強化
タイ全土への連結性向上を目指し進められているEEC計画は、第3フェーズに入った。新型コロナウイルスの感染拡大による投資の遅れは発生しておらず、主要なインフラプロジェクトも開始している。ドライ・ポート(内陸への載せ替えターミナル)の整備も順調に進捗しており、接続性はますます高まっている。
今後は、CLMVT(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ)を新しい地域としてとらえ、中国まで接続し、連結性を向上させていく予定である。また、別プロジェクトである南部経済回廊においても、タイとベトナム、ラオス、カンボジアがつながる予定であり、地域全体としての連結性強化が進んでいる。
■ 注力するクラスターと産業
EECは、デジタル、健康・医療、物流の3つのクラスターと、12のターゲット産業に焦点を当てている。デジタルについて、タイはASEAN諸国のなかでいち早く商業ベースの5Gを導入しており、EECでの5Gのカバー率は100%である。5Gに関する人材開発も進んでいる。5Gを活用した工場の自動化や、バン・チャン地区のスマートシティ化、5Gを活用したビジネスを一層促進する。健康・医療については、先端農業、機能性食品、製薬、化粧品、バイオ等の研究拠点を整備していく。物流については、航空産業の育成や物流の円滑化を実現していく。
恵まれた自然環境のもと、研究開発やエコシステム構築等を推進する計画もある。例えば、デジタル産業に特化した「EECd」、バイオやナノテクノロジー、グリーン農業や蓄電池開発といった先端分野の研究が可能な「EECi」、創薬や治験を行う「EECmd」等がこれに該当する。投資先としての魅力を向上させ、より多くの産業を惹き付けたい。
■ SDGsを積極的に推進、日本の投資を歓迎
EECは、持続可能な開発目標(SDGs)にも率先して取り組んでいる。温室効果ガスのネット・ゼロを目指しており、そのために再生可能エネルギーや電気自動車の普及、資源・廃棄物管理の改善を図っている。また、今年末までに排出量取引も開始する予定である。
ESG(環境・社会・ガバナンス)の投資先としてもEECに期待してほしい。日本はEECへの最大の投資国である。今後とも、日本からの投資を歓迎する。
【国際協力本部】