経団連は9月14日、提言「2021年度規制改革要望―DXと規制改革の循環を確立する」を公表。全会員企業・団体への調査を基にした規制改革75項目を取りまとめた。新型コロナウイルス感染症を乗り越え、持続可能な成長を実現していくうえで、DX(デジタルトランスフォーメーション)による社会課題の解決が必要との観点から、これを阻害する規制の改革に注力し、DXと規制改革の好循環を構築すべきと指摘した。主な要望・提言内容は次のとおり。
1.with/postコロナにおける規制改革に関する再要望
昨年来、政府において新たな生活様式を見据えた規制改革を推進したものの、積み残された課題も多い。書面・押印・対面原則や常駐・専任規制の見直し、テレワーク時代に合った労働環境の整備等をあらためて訴えた。
2.DX等による社会課題の解決に向けた規制・制度改革
(1)DXを支えるデジタル技術の実装
デジタル技術の実装を進めることが何より重要であり、これを遅延させる規制を徹底的に見直すべきである。特に、ローカル5G、無線機器、マイナンバー等を活用したサービスの提供時に求められる手続きの迅速化・短縮化等が不可欠である。
(2)あらゆる行政手続き等の電子化
公正証書、就労証明書、納税手続き、地方公共団体の入札・調達等の電子化等、行政手続き等の電子化を聖域なく、可能な限り前倒しで進めるべきである。
(3)グリーン成長の実現
2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、前例にとらわれずに規制改革に果敢に切り込む必要がある。発電・受電設備の遠隔監視技術のさらなる活用、太陽光発電設備の設置円滑化に向けた規制緩和等を進めるべきである。
(4)ヘルステックの推進
ヘルステックの推進もSociety 5.0の実現に大きな役割を果たす。処方箋医薬品分野のDXの進展等を見据えて、調剤の外注、薬局外からのオンライン服薬指導の容認、さらには医療機器プログラムやヘルスケアデータの活用促進に必要な制度を整備すべきである。
(5)多様な人材が多様な地域で活躍する環境づくり
テレワークのさらなる加速に資する制度整備のほか、地域活性化の観点から、飲食店の屋外客席の活用促進、遠隔での建築基準法に基づく中間・完了検査の遠隔化、貨客混載の全面解禁等を実現すべきである。
【産業政策本部】