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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月7日 No.3516 オンライン診療・服薬指導の普及に向けて -イノベーション委員会ヘルステック戦略検討会

経団連のイノベーション委員会ヘルステック戦略検討会は9月13日、オンラインで会合を開催し、MICINの原聖吾CEOからオンライン診療の普及に向けた課題と対策について、また日本調剤の長島雄一薬剤本部薬剤企画部長からオンライン服薬指導の普及に向けた課題と対策について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ オンライン診療の普及に向けて

原氏

制度改革や新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、オンライン診療を導入する医療機関が増えている。一方、医師を対象とした調査によると、オンライン診療の現行制度に対する最大の課題は、診療報酬上の評価が低いことである。また、オンライン診療を受けた患者を対象とした調査によると、オンライン診療のデメリットとして最も多く挙げられたのは、診療にかかる費用負担が増えたことである。対面診療と比べて低いオンライン診療の診療報酬を補うため、医療機関が患者の10割自己負担で追加の費用を徴収しているのが実態である。これらの課題を解決し、今後、オンライン診療を普及させるためには、次回の診療報酬改定までに、オンライン診療時の管理料等を対面診療時と同等水準に算定できるよう見直すべきである。また、オンライン診療の対象疾患が限定されないよう、オンライン診療料が算定できる疾患の制限を撤廃すべきである。2021年6月、特例措置の一部恒久化を盛り込んだ「規制改革実施計画」が閣議決定された。オンライン診療の診療報酬の見直しについても協議が進むことを期待する。

■ オンライン服薬指導の普及に向けて

長島氏

オンライン服薬指導に関する規制の多くは、新型コロナの感染拡大を受けて、特例措置により緩和されている。恒久化へ向けた協議も進められている。しかし、オンライン服薬指導の認知率や利用率は依然として低い。オンライン服薬指導が可能な処方箋であっても、対面で服薬指導が実施されるケースも多い。これは、情報通信機器環境が十分に整備されていない、あるいは薬の配送に伴うコスト負担や受け取りまでに時間を要するといった問題に起因している。今後、オンライン服薬指導を普及させるためには、診療から服薬指導までを切れ目なく、オンラインで完結する「オンライン医療」を推進する必要がある。また、オンライン資格確認システムを通じて患者本人の医療情報なども利活用して、より細やかな服薬指導を行うなど、薬剤師の対人業務を強化することで、配送料の負担を超える価値を提供したい。紙処方箋の原本回収の手間については、電子処方箋の仕組みを早急に普及させて解決すべきである。

【産業技術本部】

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