経団連の日本トルコ経済委員会(斎藤保委員長)は10月12日、トルコ海外経済評議会(DEIK)との懇談会をオンラインで開催した。経団連側は斎藤委員長はじめ32名、DEIK側は、シェリフ・トスヤルDEIKトルコ日本経済委員長はじめ21名が参加した。トスヤル、斎藤両委員長ほか、主な参加者の発言の概要は次のとおり。
■ トスヤル委員長
パンデミックによりサプライチェーンの再編、新市場の開拓が課題となった。自由で開かれた国際経済秩序の再構築が必要となるなか、日本とのパートナーシップを一層重視している。日トルコでの有望な協力分野は、医療、IT、インフラ、グリーンと考える。DEIKとしても日トルコEPAの早期締結を望んでいる。
■ 斎藤委員長
今ほど、国際協調が強く求められている時はない。グローバルアジェンダの解決を一国で成し遂げることはできない。今月以降、G20サミット等重要なマルチの会議が続くが、まさに国際協力の真価が問われる。その意味で、共にG20のメンバーであるトルコと日本の協力は重要である。
■ 原一郎経団連常務理事
経団連は自由で開かれた国際経済秩序の形成に向け、二国間協定を含む経済連携協定の推進を訴えている。日トルコEPAは重要で欠かせないピースである。また、トルコでの追加関税導入によって日本企業にとってEPA締結の必要性はより高まっていると認識している。
■ ギュズィーデ・ゼイネップ・カラヒサルル在日トルコ大使館商務参事官
過去約十年間で日トルコ間の貿易規模は拡大し続けているが、日本からトルコへの輸出が多く、貿易収支は不均衡である。日トルコEPAについて、2019年に開催された交渉会合を最後に、新型コロナウイルスの影響もあり残念ながら顕著な前進はないが、早期の締結を望む。
■ コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使
交渉が最終段階となっている日トルコEPAについては、締結を実現させることで両国の貿易を加速することができる。アフターコロナにおいて、われわれが計画しているすべての案件でプラスの効果をもたらすだろう。しかし、交渉において、日トルコ双方が納得する状況にはまだ至っていない。
■ 鈴木量博駐トルコ大使
日トルコEPAの締結は、貿易ルールの透明性と予見可能性を高め、追加関税の問題も解決する。より高い視点でみると、日本はアジアにおいてCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、RCEP(地域的な包括的経済連携)協定の双方に加盟する最大の経済大国であるため、日本とEPAを締結することは、トルコにとって将来のメガFTA加盟という選択肢に現実味を与える。カラヒサルル参事官が指摘した貿易不均衡については、トルコで活動している日本企業のトルコからの輸出額が日本からトルコへの輸出額を超えており、グローバルな視点でみれば是正されている。
【国際経済本部】